県計画の新総合体育館、基本構想から68億円増の313億円でも入札不調 知事はさらに増額の可能性言及 事業者に求める最低基準緩和や一部前払いも検討
9月に入札不調となった鹿児島県の新総合体育館事業を巡り、塩田康一知事は3日の県議会代表質問で、最大313億円と提示していた事業費が「増加する可能性がある」と述べた。コスト削減のため、事業者がクリアすべき最低限の基準を示す「要求水準」の緩和や整備費の一部を前倒しで支払うことも検討しているとした。 本会議後の取材に「要求水準に記された会議室の数やVIPルーム面積など見直せる部分があれば見直す」と説明。競技面積といった規模や機能の変更については「基本的に困難」と従来通りの考えを示した。 県は事業費削減のため、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)手法を初導入し、整備から運営までを包括発注する。完成予定の2029年度から15年間分割払いする計画だったが、資金調達する際の金利上昇を軽減するため、完成前に費用の一部を支払うことも検討する。 基本構想から68億円増えた313億円で4月に入札公告した。5月時点で県内外の事業者でつくる2グループが参加を表明していたが、9月の入札日に辞退届を提出。4月の入札説明会に参加した1グループを含む3グループへ10月末に聞き取りを実施した。
塩田知事は「半導体工場やデータセンターなど建設工事の全国的な増加に伴い、当初の想定より労務費や設備工事費の高騰が進んだ」と不調の要因を分析。金利や建設コストの動向を踏まえ「整備・運営手法も見直す必要がないか検討している」と答弁した。
南日本新聞 | 鹿児島
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