桜田ひより×風間太樹監督が語り合う映画『バジーノイズ』 物語が生まれる“日常”とは
曲がりくねった人生も楽しいんじゃないかな
──「好きを続けるのってむじぃんだよ」という陸(栁俊太郎)の台詞が印象的でした。好きなことを仕事にしているように見えるお二人ですが、好きを続ける難しさを感じることはありますか。 風間:難しいですよね。映画をつくる以上、どうしたって評価というのがついて回る。理想としては色んな声に恐れることなく、自分の好きを追求できたらいいんだけど、自分が揺るがずあり続けることは難しい。自分自身が抱えている想いを陸に託したところはあります。俳優さんもそういうのってある? 桜田:私は、難しいは難しいですけど、深く考えることじゃないなって正直思っちゃいました(笑)。 風間:潔いね(笑)。 桜田:自分の好きなことを追いかけてがむしゃらになる生き方も素敵ですけど、難しいなと思ったら違う道に進むのもまた一つの人生じゃないですか。それに好きなことに限らず、人生なんて大変なことや辛いことだらけですし。 風間:そうだね。 桜田:そういうのを含め、くねくね曲がりながら生きていくことが、実は楽しかったりするんじゃないかなって思います。 ──潮にとって、誰かにレコメンドされたわけではない、初めて見つけた自分の好きが、清澄の音楽でした。お二人が初めて見つけた自分の好きはなんですか。 桜田:私は色です。 風間:色? 桜田:昔から水色が大好きなんです。だから、ランドセルも水色でした。私が小学生の頃って、カラフルなランドセルが増えてきた時代で、それでも水色のランドセルをチョイスする子は周りにはまだ少なくて。なのに私は母や父から何を言われても、絶対に水色がいいって譲らなかったんです。今でも水色が好きで、イメージ的にはピンクっぽい感じを持たれることが多いんですけど、何かを選ぶときは自然と水色とか青系を選ぶことが多いですね。 風間:そっか。だから、潮のパーソナルカラーにぴったり合う感じだったんだ。 桜田:劇中で使っていたネイルは私がプライベートで使っていたもので。衣装合わせのときに水色のネイルをしていたら、監督がそれがいいとおっしゃって。 風間:ポスターでも着ている潮のトップスが青で。それと水色のネイルの相性にピンと来たんですよね。 桜田:そのネイルが限定ものだったので、ヘアメイクの金山(貴成)さんがその場で即購入してくれて、それをそのまま使っていました。監督の初めて見つけた好きはなんですか。 風間:カメラかなあ。父親がカメラが好きで、その影響もあってファインダーを通して見る世界というものが昔から好きだった気がします。基本的に人を撮ることはなくて、情景の写真が多いかな。 桜田:現場にもカメラを持ってきていましたよね。 風間:現場とか、あとはロケハンしながら写真を撮ったりするんですけど。そのときに衝動的に撮ったものが画づくりに反映されることもあって。僕は作品をつくるときに、撮影の核になる建物よりも、その先にある道とか階段とか、街の動線みたいなところを集めるのが好きで、そういう写真を撮ることが多いです。 ──桜田さんもよくInstagramで空の写真をアップされていますよね。 桜田:空は絶対同じ空がないところが撮ってて楽しいんです。見返したときに、あのときはこうだったなとか、記憶が甦ることも多くて。私も人より風景を撮るほうが好きで、よく空は撮っています。