【甲子園熱戦レポート│3日目】「ここからやり直さなきゃいけない」初出場の新潟産大付に逆転負けを喫した花咲徳栄・岩井監督の新たな誓い<SLUGGER>
一方、新潟産大付からしてみればロースコアの接戦をモノにするのは専売特許のようなものだろう。県大会では新潟明訓、日本文理、中越、帝京長岡など強豪校を次々に撃破してきた。そのスタイルを甲子園でも遺憾なく発揮した。新潟産大付の吉野公浩監督は強豪校に勝つ秘訣をこう話す。 「選手たちにはボクシングで例えるんですけど、最初はガードを固めて、ジャブとボディブローで相手の出足を止めて。そこから最後にストレートで勝ちきるぞみたいな。(走塁面では)戸嶋が塁に出ると牽制をしてくれて、それ以外の選手にも気を遣ってくれていたので、いいプレッシャーをかけられたと思う」 そうして花咲徳栄は相手の思うようにやられた。力を出し切ることなく敗れた試合だった。 ただ、岩井監督は「一からのやり直し」とこの敗戦を前向きに受け止めている。 「相手にしつこくられて何かね、流れが一気に行っちゃうっていう。甲子園は怖いですよね。これまでもうちは経験したけど、甲子園出場が5年も空いてしまうと初出場のような感じ。『甲子園はこういうところだよ、こういう野球をしないといけないところ』と僕が分かっても、選手はなかなかイメージできなかったんだと思う。負けをずっとを繰り返して優勝したので、甲子園の勝ち方をチームが知るためには、ここから一からやり直さなきゃいけない」 15年、優勝した東海大相模に1点差の悔しい敗戦を経験し、16年は今井達也を擁してやはり頂点に立った作新学院に苦杯を舐めた。敗戦から甲子園を知り尽くし、頂点に立ったのが17年だった。出直しの一敗はジャイアントキリングを喰らう悔しいものになったが、花咲徳栄がもう一度立ち上がるためには必要な経験となるはずだ。 取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト) 【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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