会社の「倒産リスク」を“見える化”する4つの方法とは?安全性は、会社の体つきと血液の流れをみる!
先ほど「会社が倒産するのは資金繰りに行き詰まったとき」と説明しましたが、資金繰りに行き詰まる会社の決算書には、最終的に次の2つの異常が現れます。 ①資産の元手のうち、借金(他人資本)の割合が極端に大きく、バランスが悪い ②現金を生み出せていない ①と②は関連しており、事業から現金を生み出せないと借金が膨らみ、最後には返済不能となります。つまり倒産する会社は、貧弱な骨格で、大量の血を流しながら走っているようなものなのです。
安全性の分析では、会社がこのような状態に近づいていないかを確かめていきます。 ■①会社の骨格の太さがわかる「自己資本比率」 ここからは貸借対照表を使った安全性分析の具体的な方法をご紹介します。 まず確認したいのは、資産の元手(右側)の「上下」。つまり、負債(他人資本)と純資産(自己資本)のバランスです。 会社が倒産するのは、借金を返せなくなったときでした。これは裏を返せば、原則借金がなければ会社は倒産しないということ。つまり自己資本が多いほど、安全性は高いといえます。
それがわかるのが「自己資本比率」です。この比率は、すべての資本のうち、自己資本(純資産)(※)が占める割合を表します。 ※厳密には、純資産中の株主資本(および「その他包括利益累計額」がB/Sに計上されている場合はそれも含める)を指す 自己資本の多さは、いわば会社の「骨格の太さ」です。骨格がしっかりしていれば、その上に十分な筋肉(固定資産)をつけ、活発に運動してたくさんの血液を生み出せます。しかし骨格が貧弱なまま、重いロボットスーツ(負債)を着れば、足元がふらつき転んで、大量出血することになりかねません。
一般的に、日本企業の自己資本比率は30%以上が望ましく、50%以上あれば安全性が高いといえます。ただし、その水準は業種や業態によって異なるため、数社の同業他社と比較して数値の高低を確認しましょう。 なお、負債が増えすぎて、仮に資産を全部売っても返済できない状態を「債務超過」と呼び、倒産の危険性が高い状態といえます。 ■②実質的な借金の大きさがわかる「ネットD/Eレシオ」 貸借対照表の「上下」を使った、もうひとつの安全性分析が「ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)」です。