爪水虫、治療は長引くことがほとんど 生え替わるまで根気強く治療 Doctorに聞こう!
爪が白く濁ったり、分厚く変形したりする爪の水虫。夏にサンダルを履いて素足を見せる機会が増え、気になっている人も多いはず。マツダ病院(広島県府中町)の皮膚科の大塚理紗部長(38)に治療法や予防法を聞いた。 【図解】家族が爪水虫になったら…
●どんな病気
爪水虫は正式には爪真菌症(つめしんきんしょう)といい、主に白癬菌が原因です。靴の中など高温多湿な環境で増殖するため、足の爪に多く見られます。爪の表面や皮膚と接触する部分が菌に感染し、爪が白や黄色に濁って分厚くなったり、ボロボロと弱くなったり、爪の先端から縦に黄白色の筋ができたりします。 皮膚が感染した場合と異なり、かゆみはそれほどありません。爪が分厚くなったり浮いてきたりすると靴に当たって痛みが出て、歩きにくくなることがあります。また、足先に力を入れにくくなると歩く時のバランスが崩れ、転倒しやすくなるため、特に高齢者は注意が必要です。 治療は長引くことがほとんどで、爪が生え替わるまで1年程度かかることもあります。根気強く続けることが必要です。命に関わるような疾患ではありませんが、糖尿病の人や免疫力の落ちている高齢者は、爪やその周辺が他の細菌感染に発展する恐れがあります。
●診断・治療
爪を削って少量採り、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。内服薬と塗り薬が使われますが、複数の爪を同時に治療できる内服薬を優先することが一般的です。 内服薬は抗真菌薬です。よく使われるのは3種類です。テルビナフィンは白癬菌に対して強い抗菌活性があり、6カ月間服用します。肝障害や血小板減少などの副作用があるため、定期的な血液検査が必要です。イトラコナゾールは「1週間服用、3週間休薬」を3回繰り返します。併用してはいけない薬が多い特性があります。ホスラブコナゾールは12週間服用します。併用してはいけない薬はありませんが、肝機能障害を生じることがあるため、適宜検査をすることが推奨されています。 塗り薬は治癒率が内服薬に比べて低くなりますが、肝機能障害などで服用が困難な場合や症状が軽い場合に処方します。 足に合わない靴は足の皮膚が蒸れたりすれたりして治りにくくなる恐れがあるので、足に合った靴を選ぶことも大切です。また、感染している爪は塗り薬を浸透しやすくするため、マニキュアなどを塗るのは避けましょう。
●予防
感染経路は不特定多数の人がはだしで使うスリッパや足拭きなどが考えられます。夏場は特にプールに行く機会が増えるので、注意してください。 白癬菌が皮膚や爪に侵入して感染が成立するまでに24時間ほどかかるので、毎日せっけんできれいに洗うことが重要です。皮膚が感染すると爪にも広がる恐れがあります。足指の間の皮膚は感染しやすいので特にしっかり洗うようにしましょう。剥がれそうな皮(角質)をむしったり、軽石などでこすり過ぎたりして皮膚表面に傷が付くと感染しやすくなるので、泡で優しく洗ってください。洗った後は水分を拭き取って乾燥させることも大切です。