自民党が「政倫審」の対応に苦慮、議決対象議員の要職起用困難 若手育成に支障も
自民党が、派閥パーティー収入不記載事件を受けて開かれた政治倫理審査会(政倫審)に関する対応に苦慮している。通常国会は閉会したものの、不記載が確認された自民議員らに弁明を求める議決の効力が残っているからだ。議決の対象議員は国会の常任委員長や理事などへの起用が難しくなり、若手の育成にも支障が生じかねない状況となっている。 政倫審は政治的、道義的責任を問われた議員が弁明する場として衆参両院に設置されている。今回、衆院で44人、参院で29人の計73人に対して弁明を求めることを全会一致で議決した。 だが、対応は議員個人の意向に委ねられており、その結果、1人も出席しなかった。 弁明を求められている安倍派(清和政策研究会)のベテランは「既に安倍派幹部が政倫審で説明しており、それ以上は弁明のしようがない。さらし者になるだけだ」と欠席の理由を説明する。 閉会中に政倫審が開かれる見通しは立っていないが、野党側は秋の臨時国会で追及を続ける構えだ。 議決の効力は衆院の場合、解散総選挙に伴う失職で失われる一方、参院では消滅のタイミングが決まっていない。 効力を任期満了までとする案もあるが、自民の参院国対幹部は「野党との協議次第だ。政治情勢によってどうなるか分からない」ともらす。 先の通常国会で、自民は審議を円滑に進めるために不記載事件に関わった議員を衆参両院の委員長などから外した。議決問題が解決しない限り、今後も要職起用は困難とみられる。 内閣改造などが行われた場合も、閣僚や副大臣、政務官は国会への出席を求められるため、追及の的になる可能性が高く、議決対象議員の起用には慎重にならざるを得ない。 別の参院国対幹部は「ポストの数に対して成り手不足が深刻化している。特に中堅・若手が議決の有無で経験値に差が出てしまうのは長期的に見て問題になりかねない」と懸念を口にした。(永井大輔)