【大学野球】早大ナインが池田記念美術館を訪問 野球部の歴史と伝統に触れる
新潟で夏季キャンプ
早稲田大学野球部は8月4日から18日まで新潟県南魚沼市内のベーマガスタジアム(大原運動公園)で夏季キャンプを張っている。 【選手データ】印出太一 プロフィール・寸評 早大は今春の東京六大学リーグ戦で7季ぶり47度目の優勝。天皇杯を奪還した。全日本大学選手権では9年ぶりの大学日本一を逃したが、準優勝を遂げている。 キャンプ期間中の9日に小宮山悟監督以下、野球部員約50人が同市内にある池田記念美術館を訪問した。 同美術館はベースボール・マガジン社の創設者である池田恒雄氏(1989年野球殿堂入り)の強い志の下、1998年に開館した。池田氏は1946年の同社創業にあたり「学生野球の父」と言われた飛田穂洲氏(早稲田大学野球部初代監督、1960年野球殿堂入り)に原稿執筆を依頼。池田氏は飛田氏がいた水戸へと何度も足を運び、承諾を得ることができた。 1946年創刊の「ベースボールマガジン」の巻頭言には、飛田氏の寄稿として『進め! 野球の大道へ!』を掲載。池田記念美術館にはスポーツ展示室があり、飛田氏が著わした直筆原稿を展示している。墨で記された和紙を広げると、約2メートルの長さになる。 1901年創部の早稲田大学野球部の神髄が、南魚沼市に置かれている縁もあり2022年に初の夏季合宿を実施。今年は3回目の開催で一昨年、昨年に続いて、野球部員が同美術館を訪問するのが、キャンプ行事の一つとなっている。 池田記念美術館には飛田氏の直筆原稿のほか、早稲田大学野球部初代部長・安部磯雄氏(1959年野球殿堂入り)の色紙や、戦前に活躍した伊達正男氏(1989年野球殿堂入り)のユニフォームなど、同野球部関連の資料の数々が展示されている。学生たちは約1時間、食い入るようにして、歴史と伝統に触れ合った。 2019年1月から母校を指揮する早大・小宮山悟監督と、学生のコメントは下記である。 小宮山悟監督 「南魚沼に来て、夏季合宿中に池田記念美術館に訪問するのは、学生たちはどの程度、心に響いているか分からないが、ベースボール・マガジン社の先代の社長である池田恒雄さんと早稲田大学野球部とのつながりを考えると、足を運ぶべき場所だと思っています。あえて8月9日に設定して『野球の日』ということで、来年以降も南魚沼にお邪魔することがあれば、足を運ぶつもりでいます。秋に勝てば『南魚沼のおかげ』だと言える。(秋は)2年続けてあと1勝で優勝を逃してきた。あと1勝をどう埋めるかを課題に、この春は勝てましたが、そう簡単に連覇ができるものではないことは十分に理解していますが、何とか成し遂げたい。そのためにも、南魚沼で徹底的に強化するつもりでいます」 印出太一主将(4年・中京大中京高) 「今年で訪問するのは3回目ですが、飛田先生の巻頭言を見るたび、早稲田大学野球部の歴史と伝統を肌で感じます。ベースボール・マガジン社と早稲田大学との縁があって、新潟でキャンプを張ることができている。その関係性を知ることも大事であり、有意義な時間を過ごすことができています。各都道府県には早稲田大学にゆかり、縁のある場所があります。こうして遠征を通して触れることができるのは、早稲田だからこそできることであり、感謝しかありません。恵まれた環境で、エネルギッシュに練習ができています。多くのご支援をいただいている方に、秋も結果で返していかないといけない。春はリーグ優勝しましたが、全日本大学選手権ではあと一つ、勝ち切れずに日本の大学で2位。秋も東京六大学で勝つことは大変なことですが、春秋連覇を目指し、明治神宮大会でリベンジして、日本一を達成する。後輩たちに何かを残して卒業したいです」 吉納翼副将(4年・東邦高) 「池田記念美術館の見学を通じて、あらためて早稲田大学野球部の数ある伝統と歴史に触れることができ、非常に良い時間でした。諸先輩方の支えがあって野球ができる自分たちは幸せです。秋に向けてより一層、頑張らないといけない。チーム全員の気持ちを一つにする良い機会となりました。この秋は個人としては学生ラストシーズンです。1試合、1打席、1プレーを大事に後悔なく、秋は自分がリーグ優勝へと導けるように頑張りたい。東京六大学リーグ戦で連覇し、春につかめなかった日本一を、秋こそはつかみたいです」 なお、8月10日には今合宿の拠点であるベーマガスタジアム(大原運動公園)にて「全早稲田戦」が開催される(11時プレーボール)。現役学生と早大から社会人企業チームへと進んだOBで編成された「稲門倶楽部」が対戦。昨年に続き、2度目である。今年7月の都市対抗野球大会(東京ドーム)に出場した多くの卒業生が顔をそろえ、学生にとってはアマチュア最高峰のレベルに接する貴重な機会である。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール