固定残業30時間の会社に就職。1年間定時帰りの場合と、毎月30時間残業した場合で、時給はどれほど変わりますか?
固定残業制が導入されている企業の場合、残業の有無や残業した時間にかかわらず一定の残業代が支払われます。しかし、そのような制度が導入されていても、できれば残業はしたくないという人もいるでしょう。 当然のことながら、固定で残業代が保証されているのにもかかわらず残業をしなければ、その分時給は高くなります。今回は、果たしてどの程度の差がでるのかということを詳しく解説します。
固定残業制とは
固定残業制とは、企業が従業員に支払う給与に一定時間分の残業代をあらかじめ含める制度です。みなし残業制とも呼ばれます。通常、残業代とは、従業員が労働時間外に業務を行った場合に基本給とは別に支払われるものです。 しかし、固定残業制を導入している場合、従業員が実際に残業をしたかどうかや、どの程度残業したかにかかわらず、毎月一定の残業代が支払われます。 企業側にとっての固定残業制のメリットは、残業代を毎月一定額で支払うことができるため、人事労務管理の手間が軽減される点です。従業員側にとっては、残業代が毎月一定額支払われるため、毎月安定した給与が得られます。 一方、企業側にとっての固定残業制のデメリットは、残業時間の管理が難しくなることです。従業員にとってのデメリットとしては、固定残業代が過大に設定されていると過重労働につながることが挙げられます。 固定残業制を導入する際には、労働基準法の規定を遵守しなければなりません。労働基準法では、残業時間の上限は1ヶ月45時間、年間360時間と定められています。また、法定労働時間を超える残業代は通常の賃金の25%以上でなければなりません。
毎月30時間残業した場合と定時で帰った場合、時給はどう変わる?
それでは、固定残業30時間の会社で1年間定時帰りをした場合と毎月30時間残業した場合では、時給にどのような変化があるのでしょうか。 まずは残業しなかった場合を考えてみましょう。月収30万円(固定残業代を含む)で1日の労働時間は8時間、月20日勤務とします。この場合、時給は「30万円÷(1日8時間×20日)」で1875円、1日あたり1万5000円です。 それでは、この条件で毎月30時間残業した場合はどうなるでしょうか。割増率は25%とします。固定残業30時間で月収30万円である場合、月の労働時間は「1日8時間×20日」の160時間に加え、固定残業時間は30時間です。 ただし、残業中の割増率は25%なので、計算上、固定残業時間は37.5時間になります。規定労働時間160時間と合わせると、197.5時間です。月収30万円をこの労働時間で割ると、時給は約1519円になります。8時間分の日給が約1万2152円、1.5時間分の残業代が約2848円、合わせて1万5000円です。 両者を比較すると、月30時間残業した場合、定時に帰った場合よりも約356円時給が下がることになります。