「連続攻撃の中でキックを使うひと工夫を」元日本代表・坂田正彰氏が感じたエディージャパン次戦への改善点
◆ラグビー◇リポビタンDチャレンジカップ2024 イングランド代表 52―17 日本(22日、東京・国立競技場) 日本代表が昨年のW杯3位のイングランド代表と今季初戦に臨み、17―52で完敗した。昨年W杯1次リーグ(12●34)の雪辱を果たせず、過去12戦全敗となった。9年ぶりに日本の指揮を執るエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)の初陣は飾れなかったが、同HCが掲げる「超速ラグビー」で得点機も創出。厳しい船出の中、若手主体の編成で臨んだ新生エディー・ジャパンが確かな光を見せた。 **************** 新生エディージャパンの「超速ラグビー」はところどころで伝わってきた。15人が速い判断をして、速く攻撃を仕掛ける。自陣ゴール前のペナルティーでも安易にタッチに蹴り出さず、積極的に攻撃を選択していった。だが、結果的に世界トップの防御網を突き破るまでには至らなかった。ブレイクダウン(ボール争奪戦)でのパワーの差も明らかで、懸命にボールを出しアタックを仕掛けても、攻撃しながら後退するシーンもあった。連続攻撃の中で相手バックス裏のスペースにキックを使うひと工夫も欲しかった。 スクラム、ラインアウト(LO)といったFWのセットプレーにも注目したが、スクラムはコミュニケーション不足の反則が目立ち、LOを起点に何度もトライを奪われた。ただ、初キャップの選手たちには世界トップのパワー、技を肌で感じられたことは今後へ血となり、肉となるはずだ。山本、藤原ら初キャップのメンバーも途中出場でいい仕事をしていたが、この試合は個人名を挙げるよりも、チームとしての成熟度をより高いレベルにして臨んでほしかった。ひと昔前とは異なり、今のジャパンには「いい試合をした」ではなく勝利を求めている。次のマオリ・オールブラックス戦(29日、7月6日)も手ごわいが、名将エディーがどうチームを修正して臨むか、腕の見せどころだ。 (99、03年W杯日本代表フッカー・坂田正彰)
報知新聞社