物流の2024問題で取り締まり強化 公取委、橋本総業に立ち入り
運送事業者に支払う代金を不当に減額するなど独占禁止法の「物流特殊指定」に違反した疑いが強まったとして、公正取引委員会は11日、管工機材・住宅設備機器販売会社「橋本総業」の本社(東京都中央区)や支店、配送センターなどを立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。 【写真で見る】社会に衝撃を与えた事件 「物流特殊指定」は荷主の運送事業者に対する優越的地位の乱用を規制するため、下請け保護に準じる規定として2004年に設けられた。これに基づく公取委の立ち入り検査は初とみられる。 橋本総業は東証スタンダード上場の橋本総業ホールディングス(HD)の子会社で、HD全体の24年3月期の連結売上高は1556億円。管材や給湯機器などをメーカーから仕入れ、地域の販売店などに卸すビジネスを展開している。 関係者によると、同社は自社の配送センターに届いた物品の荷役や輸送を巡り、委託先の運送事業者側に落ち度がないにもかかわらず、「割戻金」といった名目で一方的に代金を減額したり、時間外労働の料金を支払わなかったりするなどした疑いが持たれている。 公取委はこうした行為が「物流特殊指定」に違反するとみている模様だ。橋本総業HDは立ち入り検査を受けて「検査に全面的に協力する」とコメントした。 残業規制で物流の人手不足が深刻化する「2024年問題」に伴い、公取委は「物流特殊指定」違反の取り締まりを強化している。違反につながる恐れがあるとして、荷主に対し行った「注意」の件数は昨年度、過去最多の17件に上った。また、荷主と運送事業者の関係は下請け取引と類似して荷主の立場が強いケースが多いとされ、両者の取引を下請け法の規制対象とする法改正も検討している。【渡辺暢】