〈インドはトランプが好き〉米国・インド関係黄金時代か、新政権を歓迎する本音とは
今年のアメリカ大統領選挙ではインドの存在感が目立った。民主党の候補者となったカマラ・ハリス副大統領がインド系とアフリカ系の両方のルーツをもっていただけではない。共和党の候補者としてニッキー・ヘイリー氏、ヴィヴェック・ラマスワミ氏という2人のインド系の候補者が出た上、最終的に副大統領候補となったJ・D・バンス氏の妻ウィーシャ・バンス氏もまたインド系だったからだ。 【写真】トランプ当選に祝意を示すインド・モディ首相 アメリカでは不法移民は問題視されており選挙の争点になったが、合法移民は問題視されていない。合法移民の代表であるインド系は、その勢力を見せつける状態になりつつある。 インド系アメリカ人の勢力拡大が続くと、その親族などを通じてつながり、アメリカ政治がインドへも影響する。インドでも、民主党支持、共和党支持両方の動きがみられた。 ハリス副大統領の母の出身地ではハリス氏勝利の祈願も行われる一方で、トランプ前大統領勝利を祈願するヒンドゥー寺院もあったのである。インドにおける米大統領選挙への関心は非常に高く、TVでは特集があり、筆者も、米大統領選挙の2日前から選挙当日まで、インドのテレビで、米大統領選挙について解説する状態であった。 興味深かったのは、インドでは、ハリス氏よりもはるかに、トランプ氏が人気を集めているようにみえたことだ。インドの有識者の中には、トランプ氏の方が「far far better(はるかに、はるかに、いい)」とはっきり述べる有識者が少なくなかったからだ。 しかも、トランプ氏とモディ氏の個人的な友人関係もクローズアップされることが多かった。大統領選挙投票日である11月5日より前の11月1日、トランプ氏は、X(旧ツイッター)にコメントをだし、モディ首相への支持を表明している。そしてトランプ氏勝利が濃厚になると、かなり早い段階で、モディ首相も、トランプ大統領に祝意を伝えたのである。 なぜ、インドでは、トランプ氏が人気なのだろうか。米印関係はトランプ氏の下で黄金時代を迎えるのだろうか。本稿で分析することにした。