「クレイヴン・ザ・ハンター」密猟者を狩るアンチヒーロー 悪役の悲哀もうまく描かれてます
【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。秋田県の佐竹敬久知事による「クマ送る」発言が話題ですね。佐竹知事は17日の県議会で、クマを駆除した際に寄せられる苦情について「私にもし(苦情が)きたら、相手を威嚇する。お前のところにクマを送るから住所を送ってくれと。こうすると相手が電話を切ります」と言ってのけました。大胆な発言ですが、相手はクマ。対処に当たる警察官も大変な危険が伴います。命を懸けている県の公務員の名誉を守るための発言なのでしょうね。 さて、このニュースに関連し、映画「クレイヴン・ザ・ハンター」を紹介します。今作はスパイダーマンの宿敵として知られるマーベルの人気キャラクター、クレイヴン・ザ・ハンターにスポットを当てた一作です。 高い身体能力と五感を駆使して戦う、悪名高き最強のハンター、クレイヴン。金儲けのために野生動物を殺す人間たちを次々と狩っていきます。そんな主人公はどのようにして誕生したのか。その始まりの物語です。 今作の見どころは、主人公を演じるアーロン・テイラー=ジョンソンの快演です。彼は「キック・アス」(2010年)という作品で話題になったんですが、その時は気弱でオタクっぽい青年の役がよく似合う男だったんですよ。しかし最近は見違えて男らしく、ダンディーになっちゃって。作品内でロンドンの街をはだしで走るシーンがあるんですけど、そこでガラスの破片とかが足に刺さっちゃってるんですけど、もうお構いなし。主人公の貫禄が圧倒的でした。彼は次期ジェームズ・ボンドと海外で報じられてもいます。 また、今作は悪役の悲哀をうまく描いてます。人は誰しも悪役になりたくてなっているわけではない。ならざるを得ない理由があるんですね。クレイヴンも人間を狩る悪役ですが、そうなるに至る背景がある。さらに、狩る人間が密猟者となれば、それは本当に悪なのか。アンチヒーローのメンタルの内情をきちんと描けているところがすごく共感するポイントかなと思いました。 クマを駆除するという判断を行う自治体も、そしてそれを実行に移す警察官も決して悪ではありません。人間社会においてクマは脅威にほかなりませんから、山から下りてくるのならばそれが妥当な対応だと思います。しかし、その行為に対し抗議の電話が来るということは、それもまた誰かにとっての“悪”ということでしょう。丁寧に、根気強く理解を求めていくしかないのかもしれませんね。大注目の最新作です。ぜひご覧ください。
有村昆