半導体生産・開発能力確保へ 米中韓中心に各国が支援でしのぎ削る
半導体関連の投資が拡大する背景には、主要国による大規模な補助金がある。経済安全保障の観点から、半導体の国内生産能力を強化するために各国がしのぎを削っている。 経済産業省の資料などによると、米国は2022年の半導体支援法によって設備投資や研究・開発に5年間で総額約6・8兆円(当時のレートで換算)の補助を決定。米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子による米国内での投資に巨額の補助を発表している。 半導体の国産化を進める中国は、政府系の半導体投資ファンドが19年までに計5兆円以上の資金を調達しているほか、地方政府に5兆円を超える半導体産業向けの基金が存在するという。 韓国は26年までに35・7兆円以上の民間投資の誘致を掲げ、半導体関連の設備投資への税額控除などの施策を打つ。 一方の日本も、半導体産業復活へ向けて21~23年度の3年間で計4兆円の補助金を確保。TSMCには最大1兆2080億円という巨額の支援で熊本県への工場誘致に成功した。さらに次世代半導体の国産化を目指すラピダスには24年度に最大5900億円を支援する方針で、累計は9200億円となりTSMCに次ぐ規模となる。 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「補助金は出せる範囲でしっかりと出すべきだ。設備投資だけでなく人材育成への支援も必要になる」と話した。