データで見るプロ野球、本塁打飛距離ランキング ── バレンティン本塁打のアノマリー
春季キャンプ真っ只中のプロ野球界では、各選手がレギュラー獲得へ向け必死のアピール中。そんな中、今年トリプルスリーを狙うソフトバンクホークス柳田は、最大瞬間風速14.9m/sの逆風の中、本人も「完璧」と自画自賛の130m特大弾を放ち工藤新監督に強烈なインパクトを与えました。今回は、そんなアーチストたちの「飛距離」に関する過去5年のデータを基に話を進めて行きたいと思います。そして最後にあるアーチストの本塁打数には、意外な規則性があることも分かりました。
2014年は「意外な」選手が平均飛距離王に
セ・パ両リーグの2014年本塁打20傑を基に「本塁打平均飛距離」と「打った方向」をまとめたものが表1です(※距離は推定で、今季もNPBに所属する選手のみ掲載。ランニングHRは方向の欄に反映されておりません)。結果はセ・パともに意外なものとなりました。
まず、セ・リーグはエルドレッド、バレンティンら力自慢たちを押しのけ、ロサリオが125mで首位に。一方パ・リーグでは柳田、中田ら若きスラッガーを抑えて内川が120.8mで平均飛距離ナンバーワンに輝きました。また、表6では今季NPB所属選手の各年の本塁打飛距離から最長と最短、平均距離を集計。その結果、2014年シーズンの最長飛距離は村田と陽が記録した150mとなりました。 最長飛距離を記録した村田と陽は、それ以外の本塁打で110m台が多く平均飛距離を伸ばせず。また、自ら「パワーヒッター」を豪語するロサリオは125m以上を11本揃える活躍で、両リーグでもナンバーワンの平均飛距離を記録しました。両リーグあわせたランキングで上位3人をセ・リーグが独占し「平均飛距離」ではセに軍配が上がる結果となりました。
フルスイング柳田と大谷の共通点
今季注目の選手でもある柳田は、平均飛距離3位という結果でしたが、他のアーチストとははっきりとした違いが結果に表れています。それは、広角にバランスよく打ち分ける器用さです。特に、パワーヒッターでありながらライト方向へ引っ張る本塁打より、レフトへ流した本塁打が多い点から、柳田の技術の高さが伺え知れます。また、柳田同様に大谷も逆方向への本塁打が多く、平成を代表する大砲はパワーだけでなく逆方向へ打つ器用さも兼ね備えたアーチストと言えるようです。