「袴田さんを犯人視することない」 静岡地検の検事正が直接謝罪
1966年に静岡県のみそ製造会社専務一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで死刑確定後に再審(裁判のやり直し)で無罪になった袴田巌さん(88)と姉の秀子さん(91)に対し、静岡地検の山田英夫検事正が27日、謝罪した。 【写真】静岡地検の山田英夫検事正(左)が袴田巌さん(中央)と姉の秀子さん(右)に謝罪した=2024年11月27日午前11時18分、浜松市、代表撮影 浜松市の2人の自宅であった面会は約15分。袴田事件弁護団の事務局長・小川秀世弁護士が立ち会った。 山田検事正は面会で、再審開始の可否を審理する裁判などを通じ、袴田さんが長期間にわたり法的地位が不安定になった点について「言葉にできないようなつらいお気持ちで過ごされたことを大変申し訳なく思っており、伝えに参りました」と述べた。 検察が再審無罪への控訴を断念した際に「(判決は)承服できない」などと発表した検察トップの畝本直美検事総長の談話をめぐっては、「袴田さんを犯人視することもない」と語った。 ただ、証拠捏造(ねつぞう)を認定した判決に「矛盾や誤りがある」とした部分については触れなかった。 秀子さんは「検察にどうのこうの言うつもりはございません。私も巌も運命だと思っております。無罪が確定し今は大変喜んでおります」と答えた。 袴田さんらに対しては、静岡県警トップの本部長が先月21日、「逮捕から無罪確定までの58年間の長きにわたり、言葉では言い尽くせないほどのご心労、ご負担をおかけし申し訳ありません」と謝罪している。(本間久志)
朝日新聞社