「よく見たら紙やないの!?」…70歳を過ぎて始めた〝暇つぶし〟 「液体」も「紙」で表現
スーパーや雑誌、テレビで「ネタ集め」
和紙で作るのは、誰もが知っている身近な食べ物です。生活の中から「ネタ集め」をしています。 「週3日、妻と一緒にスーパーに行って、食材を見ながらこれやったらできるかなと考える」という西滝さん。トレーや空き袋も、食品が入っていたものをリサイクルして展示に使用します。 料理雑誌やテレビの料理番組もネタの宝庫で、気になったものは写真に撮ってためておくそうです。 自宅には70種類ほどの和紙がありますが、それでも足りなかったら買い足したり、雑誌や新聞広告をちぎったりして「材料」にしています。 「私は和紙を貼ったり丸めたりしているだけ。本当に〝紙様〟のおかげなんですよ」 最近の自信作は「ワタリガニ」。通常、作品は3時間ほどで作りますが、ワタリガニの色を表現するために何度も和紙を重ねたりはがしたりして調整し、10時間かけて完成させたといいます。
「いいね」やコメントがモチベーション
はじめの頃は作品を妻や孫に見せて楽しんでいましたが、置き場に困るようになり写真に撮っては捨てていたそうです。 「こんなに作っているんだから、SNSにあげたらいいんじゃない?」。長男で画家の直人さん(51)が提案し、2019年から直人さんサポートのもとSNSに投稿しました。 2020年、Twitter(現X)に「#RTで私を有名にしてください」のハッシュタグとともに「70歳を過ぎてから暇つぶしで始めたおじいちゃんの工作です」と投稿すると、2万を超える「いいね」がつき、「本物みたいで見てたらお腹が空いてきました」「温かみがあって凄く素敵」といったコメントが寄せられました。 今ではXだけでなく、Instagram(@meganenoo)やTikTok(@meganenoo)でも発信しています。 「樹脂粘土やフェルトでフェイクフードを作る人は見るけど、和紙はあまりライバルがいないのかも」と話す西滝さん。「フォロワーさんからの『いいね』やコメントがうれしい」とモチベーションにもなっています。 「食品サンプルを作っているわけではないので、一瞬驚いてくれたらいいし、『よく見たら紙やないの』と面白がってもらいたい。元気なうちは続けていきます」