南相馬・草野さんが最高技術賞 ワールド・カクテル・チャンピオンシップ
福島県南相馬市原町区のBarWizard(バーウィザード)店主の草野聡さん(45)は、大西洋に浮かぶポルトガル領マデイラ島で開かれたカクテルの腕前を競う世界大会「ワールド・カクテル・チャンピオンシップ」で、最も高い技術を披露した出場者に贈られる「ベストテクニカルスキル」を受賞した。草野さんは「権威ある大会で日本代表として戦えたことは幸せ。誇りに思う」と喜びを語った。
「地元からの応援感謝」
草野さんは昨年の全国バーテンダー技能競技大会で優勝し、日本代表として世界大会に臨んだ。大会は10月31日~11月4日に開かれ、各国の代表約60人がカクテルの腕前を競った。味わいのほかボトルの扱い方や、5杯作るカクテルの量が水平にそろっているかなども厳しく審査され、ボトルから1滴でも垂れてしまうと減点になる。 草野さんは5部門のうち食前酒部門に出場。スプーンでかき回す「ステア」と呼ばれる混ぜ方で、日本らしさを出すために、テキーラやオレンジリキュール、サクラの花の塩漬けなどを使ったカクテルで挑戦した。「いつも通りの所作をできた」。大会では英語での意見発表もあり、草野さんは1年間英会話に通って臨み、フラワーフェスティバルが開かれるマデイラ島との共通点として日本の花見の文化を紹介した。 惜しくも優勝は逃したものの、ベストテクニカルスキルの受賞に「面食らった」と草野さん。日本人の受賞は十数年ぶりで、日本から訪れた仲間たちと共に喜びを分かち合ったという。 会場への移動は1日以上かかった。カクテルの飾りに使うリンゴやオレンジのための大きな保冷剤を航空機内に持ち込めなかったり、渡航前に体調を崩したりと困難に見舞われながらも挑んだ。世界大会は一生に一度しか出場できず、草野さんは有終の美に「地元からの応援がありがたかった」と感謝する。今後は後進の育成に努める予定で「競技大会への参加は実になるはず。挑戦してみてほしい」とエールを送る。
福島民友新聞社