綾野剛が悪い奴を好演! 最初から主人公に迷いがなかった 白石和彌監督
日本警察史上最大の不祥事と言われる北海道警察の「稲葉事件」をモチーフにした映画『日本で一番悪い奴ら』が6月25日に公開される。『凶悪』(2013)で国内の各映画賞を総ナメにした白石和彌監督が、同作の製作過程のエピソードと見どころについて語った。
綾野剛がいい! 主人公の人物像には最初から迷いがなかった
柔道の腕を買われ道警の刑事となったものの、捜査はおろか事務も満足にできない何をやってもまるでダメな主人公、諸星要一。ある日、先輩刑事から“S(エス)”と呼ぶ裏社会のスパイを使って、点数を稼いでいく方法を助言される。真面目な諸星はその助言を忠実に守り成果を上げていくが、それは間違った正義。挙句の果てには、覚せい剤の使用・所持、銃刀法違反で「懲役9年、罰金160万円」の実刑判決を言い渡されてしまう。 そんなめちゃくちゃな諸星を演じるのは綾野剛。 「主役の諸星は、26年間を無理なく演じられて、『そこのみにて光輝く』(2014)で数々の映画賞で受賞もしている今一番ノッている俳優、綾野剛にやってもらうしかない」と白石監督は初めから決めていたという。 「(綾野さんに依頼したとき)すぐに会いたいと返事があったのですが、その場合はたいていダメなんですよ。(スタッフから)『たぶん難しいと思います』と言われ、つぎ誰にしようかと考えていました」 しかし、スタッフの予想に反して、綾野が快諾したと聞いて心からホッとしたという。 「脚本の製作段階で主人公が迷うことってあるんですけど、本作に関してはなかった。初校は3時間半くらのド傑作だったんですけど、2時間半くらいにしてと言われて、泣く泣く切りました。普通は切るとひずみが出てきて、そのひずみを直すと必ずどこかがゆがみます。ただ本作は何にも変わらなかった。それだけ何がしたいかというのがはっきりしていたし、モデルの稲葉さんの生き方がすばらしいというと語弊があるんですけど、すごく素敵な人だと思いまして」 主人公の人物像の描き方は最初からブレていなかった。