バットとグローブ不要!今年も子ども300人が参加した「野球であそぼうin大田」
気温22度と汗ばむ陽気となった11月の日曜日。今年で4回目となる『小学生低学年みんなあつまれ!野球であそぼうin大田』(主催・城南こども連合育成会)が東京都大田区の多摩川河川敷で開催されました。今年は6歳から9歳の子どもおよそ300人以上が参加。ほとんどの子どもが所属するチームのユニフォームを着ている中、日頃はサッカーや水泳をしているという私服姿で参加している子どもの姿も多く見られました。 【高校生と一緒に野球を楽しむ】 野球グラウンドを5面使い、子ども達を12グループに分けて行われたこのイベントをテキパキと進行したのは昨年に続いて高校野球のお兄さんとマネージャーのお姉さん達。大田区からは日体荏原、東京実業、大森学園、目黒区からは桜修館の4校から44名の部員が協力。子どもが野球に触れるだけではなく、高校生たちにも野球を子どもに教える難しさなどを体験してもらうことも、このイベントの目的の一つになっています。 いくつか体験したメニューの中でも、特に盛り上がりを見せたのがリレー形式で行われたグループ対抗のベースランニング競争。見守る保護者から大きな歓声が挙がるなか、ユニフォームを着た子も私服の子も一生懸命に走っていました。途中からは高校生も飛び入りで参加し、子ども達から「早ぇー!」と感嘆の声が挙がる場面も見られました。 最後に行われたベースボールファイブ(手打ち野球)では、守備では我先にと子ども達全員が打球を追いかけ、一つのアウト、セーフに一喜一憂。バッティングではホームインすると、ドジャースの大谷翔平がよく行う、両手を上げて上体を傾けながら左足を上げる『キケポーズ』をする子の姿もチラホラ。代打出場を促され、子ども達から「高校生さん!ホームランをお願いします!」とプレッシャーをかけられながら打席に入る高校生の姿もありました。 バットやグローブを使わなくても、子ども達が野球の面白さに触れることができるように工夫されていることも、このイベントの大きな特徴の一つ。 イベントの終わりにはプロ野球チップスが入ったお菓子袋が参加した子ども達全員に配られました。これは昨年のイベント後に「子ども達にどうせお菓子を配るならプロ野球チップスを配った方がいいのでは?」という高校生の声を受け、カルビーさんが全面協力して実現したもの。大人達だけでは出てこなかった高校生ならではの発想に、お菓子を受け取った子ども達も大喜びでした。 【イベント参加者の声】 イベントに協力した高校生と子ども達を見守った保護者からはこんな声が聞かれました。 ▼高校生の声 「僕も楽しめましたし、これをきっかけに子ども達が野球を始めたり、もっと好きになって高校まで全力でやってくれたら嬉しいです」 「3年生以下の子ども達が相手だったのでコミュニケーションを取ることが少し難しかったです。指導して分かってくれたと思っていたことが、少ししたらまたできていなかったりとか、定期的に同じことを辛抱強く言い続けないといけない大変さとか、日頃の指導者の皆さんの苦労がちょっと分かった気がしました」 ▼小学生の保護者 「普段はサッカーと水泳を習っていますが、友達に誘われて初めて参加してみました。野球のことはよく分かっていないと思うんですけど、それでもとても楽しそうにやっていました。子どもが野球をやりたいと言ったら? そのとき考えます(笑)」 「普段はチームに入っているので、手打ち野球はもの足らないんじゃないかなと思っていましたけど、本人がとても楽しそうにやっていました」 公園などで気軽に野球ができず、地上波でもプロ野球があまり放送されなくなるなど、子ども達が野球に触れるきっかけが昔と大きく異なっている今の時代。だからこそ、こういったイベントで子ども達が野球に触れることができる機会はとても貴重なもの。イベント実行委員の潮田剛己さんは「このイベントをきっかけに野球チームに入った子どもがいるという声もチラホラと聞かれるようになりました」とこのイベントを続けてきた効果を話してくれましたが、いつかこのイベントをきっかけに野球を始めた子どもが、教える側の高校生としてこの場所に戻ってくるかもしれません。 全国でこのようなイベントがもっと増えることに期待したいと思います。(取材・写真/ヤキュイク編集部)
BASEBALL KING