加山雄三「ゆうゆう散歩」は地井武男からの「直電」がきっかけだった 「人生で一番うまいおむすびを食べた」
「ゆうゆう散歩」では、最後に俺が書いた文章を読むんだ。 姨捨 美しい田園風景を守るのは 美しい夫婦愛 君といつまでもだねぇ 雄三 そんな文章をつづった。 実際に仲睦まじいご夫婦と会ってね。塩むすびをいただいた。あんなにおいしいおむすび、それまでに食べたことはなかったよ。 打ち合わせでは、俺がおむすびを1、2個くらい食べることになっていた。でも、「ゆうゆう散歩」はすごく歩くから、腹ペコでさ。いっぱい食べたよ。具の入っていないシンプルな塩むすびだったけれど、米そのものがいいんだ。俺、食べ過ぎて、マネージャーに止められた。 うまかったなあー。あれはいい思い出だね。 70代にあの忙しさを乗り切ったことで自信がついた。それに「ゆうゆう散歩」で歩いたことで、俺の足腰はずいぶんと鍛えられたと思うよ。 最終回では、お礼の言葉を読んだ。 夢は思えば叶うんだ、 というタイトルの通り、 皆さんも自分の夢を叶えるような 生き方をして頂きたいと思います。 この番組を通して 様々な素晴らしい物に出会うことが出来、 おかげさまで温かい人間になれた気がします。 雄三 これは俺が心から思っていることだよ。人間というのは「やりてえなあー」と思っていることが現実になるんだ。本気で思えばね。 悪いことを願っちゃだめだよ。いいこと、人のためになること、自分のためにもなることを真剣に願うと、その願いはかなう。
加山雄三(かやま・ゆうぞう) 1937(昭和12)年神奈川県横浜市生まれ。俳優、歌手。慶應義塾大学法学部政治学科卒。60年にデビュー。「君といつまでも」「海 その愛」などヒット曲多数。主演映画に「若大将」シリーズなど。2021年度の文化功労者に選出された。 デイリー新潮編集部
新潮社