“悪い噂”で地上波から遠ざかった42歳俳優、ネトフリで一気に“V字回復”したワケ
綾野剛の“なりすまし”に脳がバグる
綾野さん演じるもう一人の主人公も地面師チームの一員。冷静沈着な交渉役なのですが、ターゲットを騙すため、ときには物腰の柔らかいビジネスパーソン、ときにはホストクラブの下っ端従業員と、違う人物になりすましていくのです。 この“なりすまし中”こそ綾野さんの演技力に脱帽させられるのですが、我々視聴者は彼の演じるキャラが本当は詐欺を働こうとしている犯罪者であるとわかっていながら、どこかなりすました人物にも惹かれてしまいます。 温和なビジネスパーソンの語り口についほだされそうになったり、悲惨な人生を送っているという設定の下っ端従業員につい同情しそうになったり、脳がバグる感覚を味わえるのです。
“愛されクズホスト”の魅力を引き出す
余談ですが、綾野さんはとある歌舞伎町のNO.1ホストに近付くために従業員として潜入したのですが、そのホストがとにかくクズすぎて、それゆえに視聴者から“愛されキャラ”、“イジられキャラ”になっています。 調子に乗って綾野さん演じる下っ端を嘲笑してアゴで使っていたものの、弱みを握られて立場逆転したと思ったら、気持ちいいほどプライドを捨ててヘコヘコ。口調が「~っす」と変わり、「おつかれさまです」「すんません」と態度も低姿勢に劇変するので、その変わり身の早さは必見。 この見どころも相手の魅力を引き出す綾野さんの演技があってこそでしょう。
50億円突破の映画『ラストマイル』にも貢献
綾野さんは8月の公開直後から大ヒットして興行収入50億円を突破した映画『ラストマイル』にも出演。この映画は『MIU404』と共通の世界観で描かれるシェアード・ユニバース作品のため、『MIU404』で演じた刑事役を再演しています。 『MIU404』で演じたのは、運動神経はピカイチで考える前に行動を起こす野性的な熱血バカ。冷静でインテリ感が漂っていた『地面師たち』の交渉役とは真逆の役どころと言えるでしょう。 役者・綾野剛は、『地面師たち』と『ラストマイル』というこの夏を席巻したヒット作で、演技の幅の広さを改めて見せつけて、ガーシー砲という災厄を自らの実力で振り払ったのでした。 <文/堺屋大地> 【堺屋大地】 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。
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