川口春奈ではま寿司は28店舗増、芦田愛菜はスズキを9年5カ月ぶり首位に…CM起用で「商品爆売れ」タレント【大手広告代理店が大調査】
「値上げラッシュのなか、多くのクライアントが頭を悩ませています」 大手広告代理店のキャスティング担当者がそう語る。 【画像あり】破竹の勢い! 河合優実はオファーを受けられなくなる一歩手前 「新商品を消費者に浸透させるのは大変です。大手広告代理店では、CMに起用したことで商品の売り上げを大きくアップさせたタレントをリスト化し、クライアントに提供しています」(同前) 本誌が入手したリストから、個別にエピソードを見ていこう。まずは、2024年上半期時点(以下、特に注記がなければ同期間)でCM契約数トップに輝いた川口春奈から。大手広告代理店のCMアナリストが語る。 「川口さんは21社と契約しており、下半期でもさらに契約数を増やす見込みです。知名度はもちろんのこと、清潔感や信頼性などのほか、アンチが少ないことも、川口さんに需要が集中する要因です」 タレントとして上り調子であることが、企業のイメージに合っていることも強みだ。 「回転寿司チェーンで業界3位のはま寿司は、川口さんをCMに起用してから若いOLの来店数が明らかに増加しています。スシロー、くら寿司がファミリー向けであるのに対し、はま寿司は若年層や女性に訴求したい。成果は着実に出ており、今年7月の店舗数は前年同月比でスシロー4店増、くら寿司が9店増、はま寿司が28店増と上位チェーンを圧倒しています。運営するゼンショーホールディングスは、この数字を『はーちゃん特需』と呼び、大歓迎しているそうです」(同前) 川口が若いOL層の支持を集めているのに対し、契約社数14社と女性部門で2位につける芦田愛菜は、同世代よりも主婦層に影響力が大きい。 「芦田さんのイメージは、品行方正な『理想のお嬢さん』。クライアントとしては、『安心・安全』を考えたときに最適な人選でしたが、今年20歳となったことで出演できるCMの幅が広がり、契約本数はさらに増えそうです」(同前) 現在の代表作は日立の家電。赤い衣装でハイテンションにアピールする姿が印象的だ。 「冷蔵庫、洗濯機などさまざまな商品でCMに出演し、『芦田愛菜=日立』のイメージを消費者に植えつけています。さらに、山崎製パンや味の素、サトウ食品といったCMも、若い主婦層からの支持を得ています。自動車ではスズキのスペーシアのCMに出演しており、小さな子供がいる世帯にアピールしたことで、2024年5月には新車販売で、同社としては9年5カ月ぶりの首位に輝いています」(同前) 軽自動車のCMは、人気女優がそれぞれの個性を発揮する場でもある。圧倒的美貌と関西出身のサバサバキャラが人気の水川あさみは、三菱自動車のSUV軽自動車デリカミニのCMに出演中だ。 「2023年から放映されている水川さんと同車のキャラクターとのシリーズでは、キャンプに出かける設定でデザイン性や走行性能の高さ、スライドドアという特長をわかりやすく紹介し、2023年度4~9月の受注台数は、計画比126%の大ヒットを記録しました。また、2022年から放映されている松たか子さんの爽やかな歌声が印象的な日産サクラのCMも、同社初の電気軽自動車の軽快さをアピールすることに成功しました。その結果、EV販売台数で2022年から2年連続1位を獲得しています」(前出・キャスティング担当者) 大女優がCMに出演することで、既存のイメージを覆す効果もある。 「ユニクロは、2021年から綾瀬はるかさんをスペシャルアンバサダーに起用し、ブラトップ姿のCMなどを放映しています。彼女のおかげで “安っぽい” というイメージは完全に過去のものになったといえるでしょう。直近の四半期決算で過去最高益を記録しているのも納得です。また、中国の電気自動車メーカーBYDの日本法人が今年4月から長澤まさみさんを起用。『ありかも、BYD!』というキャッチコピーの効果もあって検索数が急増。中国メーカーに抵抗感がある人も多かったはずなのに、見事に日本市場に割って入りました」(同前) 「CMには大きく分けて2つのカテゴリーがあります。まずは視聴者に品物を買ってもらうための『商品広告』。そしてもうひとつのカテゴリーが『企業広告』です」 大手広告代理店のCMアナリストが解説する。 「企業広告は、売上高としては白黒が表われないものですが、そのタレントが企業の『顔』となるだけあって、商品広告よりもステータスが高いのです。広瀬すずさんのAGCや、川口春奈さんの日本製鉄やニデック、二階堂ふみさんの環境保護をアピールする東急不動産のCMなどが挙げられます。いずれも、キャスティングされているのは芸能界ですでに地位を確立し、スキャンダルのリスクも少ない女優さんです」 高畑充希がCMに出演する三菱地所の関係者が語る。 「弊社が物件を多数保有する丸の内の魅力を高畑さんが紹介する『三菱地所と次にいこう。』シリーズで、街の人たちがラグビーをプレーするバージョンをご覧になった方も多いと思います。このCMで、高畑さんは弊社の認知度を大きくアップさせてくれました。『読売新聞』の調べでは、2024年3、4月に同紙に広告を出稿した際には、ブランド認知が掲載前比で11ポイントもアップしたということです」 ■『マツケンサンバ』で前年比1306% 企業広告に出演することはタレントの最終目標といってもいいが、芸能界の頂点に君臨するタレントたちが、あえてコミカルに演じるCMは話題性抜群。多くの爆売れ商品を生み出している。 「24時間ジムのチョコザップが爆発的なヒットを記録していますが、松平健さんの貢献度も大きいと思います。出演したCMでは『マツケンサンバ』のいでたちで、気軽にトレーニングする様子を熱演。一度見たら忘れられないコメディタッチのCMで、2023年9月時点の会員数が前年比1306%という記録的な成長に貢献しました」(前出・CMアナリスト) 2023年まで放映されていた日本マクドナルドのCM「ひるまック」では、木村拓哉がビジネスマンをコミカルに演じた。 「展示場のスタッフ役の木村さんと、その同僚を演じるかまいたちの2人がユニホームのサイズについてやり取りする設定で、ポテトとドリンクをLサイズに変更できる『LLセット』を訴求しました。2022年1月から9月までの同セットの販売実績は、前年同期比でじつに4倍に跳ね上がりました」(同前) 美容皮膚科などを展開する「にしたんクリニック」は、2023年5月より放映されている船越英一郎と黒木瞳の出演で、認知度が跳ね上がった。 「洋館の豪邸で捜査する刑事役の船越さんが、寡婦役の黒木さんに来院を促すといったサスペンスドラマのパロディCMが人気です。オリジナルソングを郷ひろみさんが歌うCMで視聴者の認知度は高かったのですが、船越さんたちの出演後には、さらに6.4%も底上げされました」(同前) 役所広司がトミー・リー・ジョーンズ扮する宇宙人や、宇宙飛行士の野口聡一氏らと共演したサントリー「BOSS」は、CM好感度調査でも常に上位にランクインしている。そんな大人気シリーズに9月から新メンバーとして加わったのが、今話題の女優である河合優実だ。前出のキャスティング担当者が感嘆する。 「河合さんは今、破竹の勢いです。すでに契約している資生堂、『さとふる』に加えて今年9月には木下工務店、ユニクロ、森永乳業のCMも決定しました。業界内の競合の兼ね合いもありますから、オファーを受けられなくなる一歩手前です」 BOSSの新CMで河合は、アイドル歌手「YUMI」として、役所演じるプロデューサーのもとでデビューを飾るという設定。CMに携わった関係者が語る。 「撮影現場で真っ白なミニドレスにニーハイブーツという衣装を身に纏うと、スイッチが入ったようでガラッと目つきが変わったんです。振付師のお手本よりもキレのいい動きを見せ、ステージ上で観客を煽るようなパフォーマンスまで本気モードで演じてくれました」 丸亀製麺のCMで、米米CLUBのヒット曲に合わせてかわいすぎるダンスを披露して「誰?」と話題になった原菜乃華も、大ブレイクへの道を歩んでいる。 「カップ容器に入ったうどんを振って味わう新商品で、発売当初に容器にカエルが混入したトラブルがあったにもかかわらず、ヒット商品となりました。2023年度上期の売り上げが前年比で113.2%と好調でした。原さんは、現在は明治ブルガリアヨーグルトのCMにも出演するほか、10月からは出光興産のCMも放映が始まりました」(前出・キャスティング担当者) 新たなCMスターが生まれる一方で、クライアントが常に売り上げの増減に目を光らせる現状は、芸能事務所にとっては落ち着かないものだ。 「ロングセラーも常にマイナーチェンジしています。長年契約しているタレントが、必ずしも売り上げに貢献していないことは、今回のデータを見れば明らかです。『バレたら仕事がなくなる』と戦々恐々としているベテランは多いはずです。今は主婦層全般に強い小池栄子さんなど、ストロングポイントを持ったタレントが強い時代ですが、なかにはどの業種や分野でも常にトップクラスに訴求するオールラウンドプレーヤーも存在しています。その筆頭が、大谷翔平選手です」(同前) 2023年のWBC開催に合わせて始まった大谷が出演するコーセーの美容液「コスメデコルテ」のCMは、女性だけでなく男性の幅広い世代にも訴求した。 「情報解禁の翌日、公式オンラインショップの販売個数は、通常時の約20倍を記録したといいます」(同前) 前出の化粧水は30mlで8250円。つい買ってしまった大谷ファンの多さを思えば、高額な契約料金も、回収済みか――。 写真・本誌写真部
週刊FLASH 2024年10月22日・29日合併号