満島ひかり×岡田将生『ラストマイル』対談 14年ぶりの共演や撮影秘話を語り合う
ーー『アンナチュラル』と『MIU404』のキャストのみなさんとは同じシーンがなかったですよね? 岡田:そうなんですよ。実は会ってもいなくて(笑)。 満島:え、誰とも会ってない? 岡田:僕は誰とも会ってないです。 満島:あ、松重豊さんと竜星涼くんは同じ支度部屋にはいたよね。私たちのロケセットの隣に『アンナチュラル』のUDIラボのセットがあったり、「『MIU404』チームの撮影をしてきたよ」ってスタッフさんから聞いてわくわくしたり。 ーー「シェアード・ユニバース」ということで、またどこかでエレナや孔に会える可能性もゼロではないんでしょうか……? 満島:どうなんですかね(笑)。ドラマで孔の話を広げるとかいいんじゃない? 岡田:いや、孔は広げてもつまらないよ(笑)。 満島:あとは……毛利(大倉考二)と東海林(市川実日子)のラブストーリーとか? 岡田:ははは! ーー最後に、お二人がこの『ラストマイル』に参加して思ったこと、考えたことがあれば教えてください。 岡田:『アンナチュラル』も『MIU404』もそうでしたが、野木さんが書く物語は“エンタメ”ではあるんですけど、いま日本で起きている社会問題も含めて、何か僕たちに問いかけてくれるものが潜在的にあるんですよね。『ラストマイル』では物流がテーマになっていて、「こうしないといけない」という提示ではなく、僕たちが自ら考えないといけないと思わせてくれる。作品をご覧いただいたらそれぞれ受け取るものが必ずあると思うので、この作品が少しでもそういうことを考えるきっかけになったらいいなと思います。 満島:1人が自分自身の全てをかけても、悲しいことに世界は変わらなくて。「それでも」とあきらめない私たちは同じものを見ていても、それぞれ違う捉え方をして、1人は右を見て、また1人は左を見て、それぞれ別の感情を持ってしまう。その感情って、育ってきた環境だったり、出会ってきた人たちによって作られている部分も大きいと思うんです。自分だけで作り出したものはゼロに等しい。撮影中は、ずっとそういうことを考えていました。でも、確実に人の暖かさがあって、毎日朝起きて「今日も生きてる」と思えることが幸せだということを感じられる作品でもあると思います。だからどう考えても、孔という役は岡田さんにピッタリでした。 岡田:えぇ!? その流れで急に? 満島:だってね。岡田さんって、ちょっと変じゃないですか(笑)。 岡田:いや、変じゃないですよ! 満島さんが変なんですよ(笑)。 満島:ごめんごめん(笑)。でもそういうことで、本人が思っている自分のことと、他の人から見たその人のことは違うんですよね。そこも孔と繋がるというか。“感情のラストマイル”を受け取る孔という役が、凄まじく可能性の見える岡田さんで本当に良かったなと思っています。
宮川翔