赤潮観測にHAC活用 北海道大学とJAL
北海道大学と日本航空(JAL)グループは12日、北海道エアシステム(HAC)の定期便を活用した赤潮の観測を、2025年夏から開始すると発表した。初期の赤潮を検知し水産関係者に情報提供することで、水産被害の軽減を目指す。定期便を活用した海洋観測は世界で初めて。 利用するのはHACの札幌─函館、札幌─利尻、函館─奧尻の各便。当面は函館湾を対象にモニタリングする。 プロペラ機の機体後方下部に、観測用の複数の波長の光を撮影できる特殊なカメラを設置し、飛行機から海面を撮影。毎日データを北大で受けて画像処理し、目では見えない発生初期の赤潮を捉える。 道東沖で21年に発生した有毒な赤潮により、水産被害は97億円に上った。被害防止に向けては赤潮の早期検知が欠かせないことから、北大水産科学研究院の笠井亮秀教授が研究に着手。海面撮影データを解析することで、数十平方㍍程度の小さな赤潮でも検出する手法を開発。定時で高度300㍍~3000㍍と低空を運行するプロペラ機を活用し観測する。 北大とJALは22年6月、北海道を舞台に各種社会課題の解決に取り組もうと連携協定を結んでおり、これに基づく協業的な取り組み。 この日の記者発表には北大の笠井教授と行松泰弘理事、林浩一日本航空北海道支社長、武村栄治HAC社長が出席。両者の連携により「肉眼で発見できない赤潮の予兆を把握して被害を最小限にとどめ、持続可能な社会づくりに貢献したい」と話した。