遺体の骨折は20か所以上… ボクシングジム練習生の男が常習的に拳で殴打 隣人“暴行死”事件…男は遺体を見た瞬間「僕が暴行したことでお亡くなりになったのかなと…」『誓約書』交わし“金銭搾取”も 6月5日判決【前編】
弁護人「殴られた唐田さんはどうしていました?」 被告 「お腹を抱えて痛そうにしているのは見えましたね」 弁護人「救急車を呼ぼうとは思わなかった?」 被告 「思わなかったです」 弁護人「どうして?」 被告 「アザとかがあれば、通報されてしまうと思って」 初公判では傷害致死罪を否認した楠本被告だったが、暴行翌日、中区役所のケースワーカーとともに唐田さんの遺体を見つけた際の状況や心境を、こう語った。 被告 「亡くなっているのは見てわかった。目も開いていて…。僕が暴行をしたことでお亡くなりになったのかなとは考えました」 弁護人「いま唐田さんに対して思うことを述べてください」 被告 「本当に僕が暴行を働いたことでお亡くなりになって、まさかという気持ちがあるんですけど、本当に申し訳ない気持ちと…」
法医学者「これほど多くの肋骨が折れている事例は見たことがない」
被告は「回数は5~10回」「パワーは6~7割程度」の殴打だったと繰り返した。しかし、解剖医の法廷での証言によれば、唐田さんの肋骨は左右計22か所で完全に折れていた。 遺体の写真を見た別の法医学者も「車に轢かれたケースや、高い所から転落したケース以外で、これほど多くの肋骨が折れている事例は見たことがない」と証言した。もっと多数回の、より強力な暴行だったはずだと検察官は主張している。 後編では、拘置所での面会取材で被告が語った言葉、そして被告の暴行や金銭搾取を実質的に黙認していた、行政の職員が法廷で語った悔恨などについて詳報する。 (MBS大阪司法担当 松本陸)