サニブラウン、五輪へ自信あり 課題のスタートに手応え―陸上・パリの灯は近く
自信を持って、パリ五輪の切符を手中に収めた。 陸上男子100メートルで世界選手権2大会連続入賞のサニブラウン・ハキーム(25)=東レ=は真夏の祭典に向け、好調を維持。日本勢として1932年ロサンゼルス五輪6位の吉岡隆徳以来92年ぶりの決勝進出、初の表彰台を見据える。 五輪参加標準記録(10秒00)を突破すれば代表入りが決まる状況だった今季は、100メートルの初戦で10秒02と好発進。あと一歩のレースが続いても、「そのうち切れる」と焦りはなかった。6本目となったダイヤモンドリーグ・オスロ大会で、9秒99をマークした。 課題だったスタートに手応えがある。拠点の米国で練習していた昨年11月。「感覚的な部分で、しっくりくるような日があった」。2歩目が短くなり、それをカバーするために3歩目が大きくなる癖が解消されたという。「足運び一つで、早い段階で加速に乗れるようになった。全く違う前半の30メートルになっている」 日本選手ではただ一人、複数回9秒台を出している。山縣亮太(セイコー)が持つ9秒95の日本記録も「ただの通過点」と強調。「五輪でメダルを取るには、9秒8台を出していかないといけない。アジア記録ぐらいを出す意気込みで」。蘇炳添(中国)が東京五輪で出した9秒83をターゲットに置いている。 2022年の世界選手権で日本選手初の決勝進出を果たして7位、23年は6位に入賞したが、「決勝で100%の力を出せなかった」と満足感はない。世界のトップスプリンターに成長した日本のエースは、パリでその悔しさを晴らすための第一関門をクリアした。「今季どれだけいけるかが一番楽しみ」。自分への期待に胸を躍らせている。