日本とスウェーデン、ふたつの国にルーツを持つLiLiCoが多様性のリアルを語った
毎回1組のカップルを迎え、さまざまな角度からふたりの馴れ初めに迫る、NHKの『超多様性トークショー! なれそめ』(以下、『なれそめ』)。その収録後に、メインMCの田村淳とともに番組を盛り上げるゲストのLiLiCoにインタビュー。番組の魅力に始まり、多様性、女性の生き方まで、彼女ならではの視点で語ってくれた。 【写真】パワフル! セクシュアリティを公表した33人のLGBTQ+セレブ
●リアルなトークの向こうに見えてくる、多様性と社会のあり方
収録がスタートしたスタジオにカップルが登場すると、そこからは出演者みんながふたりが語るエピソードにじっくりと聞き入る。時折りVTRを交えつつも、カメラはほぼ途切れることなく会話を追っていく。 「そうなんです、『なれそめ』はリアルな会話を届けるという番組。私自身も出演するたびに実感するのですが、誰かの話をじっくりと聞き入ることの面白さってありますよね。それに、そもそも“馴れ初め”というもの自体が関心をくすぐるもの。 そう思いませんか? カップルならもちろんですが、それが友人同士であっても、人と人がどんなふうに出会って今に至るのかというストーリーには、つい耳を傾けてしまう魅力があると思うんです」 番組が2021年にスタートして以来、これまで登場したカップルは34組にのぼる。「見えない&耳の聞こえないアスリートカップル」「フランス人と日本人の学生結婚カップル」「元警察官&元消防士! 同性カップル」……と、さまざまなアイデンティティやバックグラウンドを持つ人々にスポットを当て、それぞれの多様な生き方を紹介してきた。 「登場するのは皆さん、一般の方々ばかり。私は、これもひとつポイントだと思っているんです。というのも、ここで聞けるのはありのままのストーリーなんです。盛ってあったり、飾ってあったりする話ではないんですね。だからこそ、話を聞きながら心を寄せてしまう。それに、本当にいろんな愛の形、幸せの形があることについて改めて考えさせられます。また、ひとりの人を愛することは、一筋縄ではいかない。そういう深みにも思いを馳せてしまいます」 自分とは生き方が違う人、異なる背景を持つ人に対して、どれだけ知らないままでいるのだろう? こと日本の社会には、長い間ずっと「普通のあり方」という意識が行き渡っていた。『なれそめ』に登場するカップルたちは、その従来の「普通」という考え方には当てはまらない場合が多いと言えるだろう。近年、多様性という言葉がクローズアップされる中で、きっと多くの人が「普通」という考えのあいまいさを見つめ直しているのではないだろうか? この番組は、そんな視点をよりクリアにしてくれる。個人ひとりひとりの思いに耳を傾けることが、自分とは違う誰かへの理解に通じる道筋を照らしてくれるのだ。