「自分は貯蓄が多い」と周りに話すことで考えられるリスクとは?60歳代単身世帯・二人以上世帯の平均貯蓄額はいくらか
広がる貯蓄格差
60歳代の貯蓄事情を確認したところ、貯蓄が多い世帯とそうでない世帯の二極化が進んでいることがわかりました。 とはいえ、知人などと話している最中に、老後のお金の話など、それぞれの貯蓄事情が話題になることも多いでしょう。昨今は老後2000万円問題も話題となったことから、貯蓄について話す機会が増えているのではないでしょうか。 しかし、貯蓄が多いことを安易に周囲に話すことは、思わぬリスクを伴う場合もあります。次章では「貯蓄が多い」と周りに言うことで考えられるリスクを紹介していきます。
「自分は貯蓄が多い」と周りに話すことで考えられるリスクとは
貯蓄額を周囲に伝えることで、どのようなリスクがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。 ●詐欺などのトラブルに巻き込まれる可能性がある 貯蓄が多いことを安易に周囲の人に広めることで、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。 消費者庁「消費者被害・トラブルの状況に関する指標例」によると、2021年の消費生活相談件数は85万2000件で、消費者被害・トラブル推計額は約6兆円にものぼります。 貯蓄が多い事実が悪意のある人の耳に届いた場合、詐欺などのターゲットにされる可能性もゼロではありません。 昨今では給付金詐欺や還付金詐欺の被害も出ています。自分の資産を守るためにも、貯蓄額については公にしない方が安全でしょう。 ●投資や住宅等の営業電話がかかってくることがある インターネットのアンケートや街頭のアンケートで多額の貯蓄額を記入した場合、それを把握した営業担当から電話がかかってくることがあります。 また、SNSで高価なものを購入したことや高級ホテルに宿泊した事実などを投稿した場合も、間接的に情報が漏れる可能性があります。 不動産投資や住宅購入など多額の資金を要する取引の場合、貯蓄額が多い人がメインターゲットとなるでしょう。 そういった取引をする予定がない場合は、貯蓄額については必要以上の情報を提供しないようにするのが無難です。 ●家族間で金銭トラブルに発展する可能性がある 貯蓄が多いことが家族に伝わり、さらに家族間で経済状況に差があった場合、お金を持っている方に頼りたくなる心理が働くことがあります。 とくに介護費用やリフォーム費用など、まとまった資金が必要になった際に金銭的な援助を頼まれることは十分に考えられます。 たとえば、介護費用について、それぞれいくらくらいかかるのかをざっと確認してみましょう。 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年の一時的な介護費用は74万円となっています。 ここでの一時的な費用とは、例えば介護ベッドを購入したり、家をバリアフリー仕様にしたりなどの費用のことを指します。 月々の費用に関しては、8万3000円でした。これは在宅介護やデイサービスの利用にかかる費用です。一時費用だけでなく、毎月の費用を継続して支払うことになれば、じわじわと家計負担が大きくなっていくでしょう。 貯蓄額を具体的に話してしまうと、相手に大きな期待を持たせてしまう可能性があります。家族間であっても、貯蓄の話をするときには「将来のために貯めている」など将来の計画を話すほか、信頼できる人にだけ話すようにするなどを心がけておくとよいでしょう。 ●税務調査が入る可能性がある 前提として、貯蓄が多いからといって、税務署による調査が入るというわけではありません。貯蓄が多くても、収入や支出を正確に申告し、税金をきちんと納めていればまず問題ないでしょう。 ただし、高額な買い物や投資をしているにも関わらず、申告している所得が低い場合など、不自然な点があれば、税務調査の対象となる可能性があります。 匿名の通報や、取引先からの情報提供など、第三者からの情報提供があった場合も調査の対象になることがあります。 資産が多いことを公言したことが要因となって税務調査が入るわけではありませんが、過度に目立つ行動や、不適切な申告が原因で調査が行われる可能性が高くなることはありえます。