【箱根駅伝】SNSに注力する強豪は多い 中央学院大は強化費600万円を寄付で集めた/連載5
<101回目のプロローグ(5)> 101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)の開催が迫ってきた。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介。 【一覧】箱根駅伝の区間エントリー ◇ ◇ ◇ 応援されるチームになるためには、「走る」だけではない、駅伝選手の新たな価値提供の1つに、SNSがある。前回大会覇者の青学大は、原晋監督の「自分たちの言葉で伝えることが大切」という方針もあり、19年頃から他校に先んじて力を入れてきた。福井放送にアナウンサーとしての就職が決まっている田中悠登主将(4年)は、特技を生かして各選手の解説動画を投稿。主力の鶴川正也(4年)が創価大のエース吉田響(4年)と焼き肉を食べながらインスタライブを行うなど、数々の取り組みでファンを賑わせてきた。 3冠に挑む国学院大も、積極的に活用する大学の1つだ。3年の青木瑠郁は「直接応援に来られない方からもメッセージをもらう」とSNSによる認知度の高まりを実感。「注目されるということは期待されること」と励みにする。平林清澄主将(4年)が「チームメートへのメッセージでもある」と話すように発奮材料になることも。10月の出雲駅伝。4区区間賞を取った野中恒亨(2年)は、前日に前田康弘監督が「野中と辻原が機能すれば…」と話していたことをSNSで目にし「そんな心配はさせない」「やってやるよ」と原動力にした。いつでも他校選手の状況も確認でき、刺激を受ける場でもある。 SNSの数字を、実数に変えたのが中央学院大だ。前回19位ながら地道な投稿で8000人超のフォロワーを獲得。今年初めて実施したクラウドファンディングは反響を呼び、当初の目標金額を大きく上回る600万円近くの寄付を集めた。シューズ購入費用や大会の宿泊費、強化合宿費用に利用。「思っていた以上に応援していただいていた」と柴田大輝(4年)。周囲の支えあってこそと再確認する契機にもなった。 その他、インタビューをYouTubeに投稿する中大など、SNSに注力する強豪は多い。一方で「何を言われるか分からない」「発言が逆効果になるのでは」と、前向きでない選手たちや、東洋大や駒大のように個人の使用を制限する大学もある。方針に正解はない。箱根駅伝を盛り上げたいという根底は同じだ。【勝部晃多】