脳科学者がおしえる「育児で怒らない脳」を作る4つの習慣
ガミガミ言うのをやめるには、どうすればいいのでしょうか。怒ることの無意味さと、脳の性質を知り、習慣を変えていくことで、「よく怒る人」から「怒らない人」に変わることができます。脳科学者の茂木健一郎さんが解説します。 ※本稿は『PHPのびのび子育て』2020年10月号から一部抜粋・編集したものです。
脳科学でガミガミをコントロール!
若い頃の私は、「茂木さんはよく怒っているね」と、よく言われたものです。それが今やガラリと変わって、「怒らない人」になりました。 以前の私は「失礼なことをする人」や「意味のないことをする人」に対して、いちいち怒っていたのですが、「怒っても何も変わらない。むしろ、事態をより悪化させてしまう」という事実に気づいてから、怒らなくなったのです。気づくまでに何十年もかかりました。 よくスーパーやコンビニのレジ、飲食店などで「早くしろ!」「いつまで待たせるんだ!」と怒っている人がいます。でも、お店の人に怒って、何か変わるでしょうか。怒った瞬間にレジの順番が回ってきたり、料理が運ばれてきたりすることはありません。待たされて不快になているのはわかりますが、誰かに怒ると、さらにイライラしたまま待つことになります。 しかも、怒られた側は、往々にしてミスを呼び込みやすくなります。スタッフが慌ててミスをしてしまったら、さらに待たされることになります。 怒ってもいいことはない。よく考えればわかることなのに、怒ってしまうと、そんなことも忘れてしまいます。怒りが、自分自身から冷静さを奪ってしまうからです。場合によっては、人生を棒に振ってしまう危険性も秘めています。 「怒らない人」になれれば、人間関係が円満になり、脳も活性化します。そうすると、子育てに限らず、あらゆることで成果を出せるでしょう。ここでは、そんな「怒らない脳」にバージョンアップする習慣を4つ、ご紹介します。
子どもの「いいところ」を見つけよう
脳が怒りにハックされてしまうと、新たな発想やひらめきが生まれません。「許せない」「排除する」といった回路しか機能していないので、トラブルに発展することも多くなります。 怒りの感情にとらわれないようにするためには、相手の「いいところ」を見つける習慣をもつことです。人は、欠点や失敗があっても、それ以上にたくさんの「いいところ」をもっているものです。「いいところ」を見るようにすれば、子どもがイラッとする言動をしても、「そういうところもあるよね」と受け流せます。 脳の「いいところを探す回路」が強化されると、神経細胞をつなげる機能も強化され、脳が怒りにハックされることを防止できます。断っておきますが、「いいところ」を見つけるのは、相手の欠点や失敗に目をつぶることではありません。「悪いところ」だけを見て、怒りにとらわれることがないようにするということです。