独身男性に「パイプカット」は許されない? 手術の前に立ちはだかる“法律”のカベ【弁護士解説】
国により要件が定められていることは「自由の侵害」か?
母体保護法によりパイプカットに要件が定められている事実は「男性の性的行為の自由や身体の自由が、国によって不当に侵害されている」と捉えることもできる。 杉山弁護士も「他の身体への浸食を伴う手術と同列にパイプカットを扱えない理由は、どうも見当たらない気がします」と語る。 「中絶手術の場合には、手術を行う女性のほかにも、“胎児”という他者の命が関わるため、規制にも理由があります。もっとも、胎児を生命と呼ぶかどうかも議論の対象となるのですが。 しかし、精管切除は男性本人の身体のみが関わる問題です」(杉山弁護士) 現在、パイプカットの要件に関する訴訟は起こっていない。しかし「具体的な事件が発生して、国の責任を問う憲法訴訟を起こせば、法律的な争点が成立する問題だと思います」と杉山弁護士は述べた。 将来的には、母体保護法による要件も問い直されることになるかもしれない。
弁護士JP編集部