日章学園FW高岡伶颯が3人抜きの衝撃弾。サウサンプトン内定の逸材FWは「20」に挑戦の選手権でその名を日本中に広める
[11.2 選手権宮崎県予選決勝 日章学園高 5-0 宮崎一高 いちご宮崎新富サッカー場] 【写真】「かわいい3人」「癒されます」…影山優佳さんがなでしこ戦士との3ショット公開 3人抜きのスーパーゴール。サウサンプトン(イングランド)内定の日章学園高FW高岡伶颯(3年=三股町立三股中出身)が、観衆を魅了するようなドリブルシュートを決めて宮崎県予選を終えた。 4-0の後半40+1分、ハーフウェーライン手前でボールを持った高岡は、正面に立ちはだかったDFを右からぶち抜く。さらに、カバーしたDFを瞬間的な速さで置き去りに。そして、スライディングタックルに来た相手を「1回、ペナルティエリアで切り返した時に、相手がスライディングでブロックされた部分があって、あれがよぎって、『絶対、スライディングしてくるやん』と思って」あえて滑らせ、ジャンプしてかわす。最後は右足シュートをゴール左隅へ叩き込み、応援席からの大歓声を全身に浴びた。 高岡は1年生だった2年前、そして、前回大会と県決勝で2年連続ハットトリック。この日は3年連続の“決勝ハット”がかかっていたが、「全然狙ってないです。勝つことだけが全てだったんで。仲間を信じて」と個人記録よりも優勝するために戦い、2得点で勝利に貢献した。 この決勝、高岡は一人でシュート10本を放った。1対1ではほぼ止まらず、身長166cmながらも抜群の跳躍からヘッド。相手に警戒されていても、自分が行けると思えば迷わずに仕掛けて足を振った。 パスした方がゴールの可能性が上がりそうなシーンがあったことは確か。後半37分の1点目までは、決め切ることができなかった。それでも、最終的には3試合連続の2得点。高岡は「(勝つために自分が)点決めるっていう風な気持ちが強かったんで。チームには迷惑掛けたと思うんですけど、でも結果的に優勝という風にまで来たんで、そこは良かったかなと思っています」と微笑んだ。 自身3度目の選手権は、「絶対、高岡という名前を、より子供たちにも、色々なサッカー知らない人でも知ってもらえるような大会にしたいなと思ってます」という意気込みだ。優勝直後のフラッシュインタビューで掲げた目標は、「20得点」。選手権の最多得点記録は、現神戸のFW大迫勇也(当時鹿児島城西高、2008年度大会)の「10」だけに、「20」は途方もないようにも聞こえるが、その数字を掲げた理由がある。 「色々な人が『絶対、無理っしょ』って思うでしょうけど、それぐらいの選手、もう自分がそれぐらいの数字を言える選手っていうことを、こう全国に広げていきたいと思ってるんで。20点取りに行く気で、チームを勝たせる得点というのを決めていきたいなという風に思っています」。昨年のU-17ワールドカップで4ゴールを決め、高卒でイングランド・プレミアリーグへ進む逸材は、「10」の先へ挑戦。注目度が高まることを歓迎した。 高校年代でも、彼より上手い選手はいるだろう。だが、試合終盤でも周囲が驚くようなスプリント、ハードワークを表現し、スーパーゴールを決められるのは彼だけの魅力。原啓太監督は、「(終了間際のスーパーゴールは彼の)醍醐味というか、彼の全てが詰まったような得点だったので、素晴らしい得点じゃないかなという風に感じてます。あの時間帯で走れるし、追いかけるし、跳ぶし……まだ復帰して1か月も経ってないので、まだ本調子じゃないと思うんですけど、これからどんどんコンディションは上がってくると思うので。彼の調子を上げて本大会に臨めればなと思います」と期待した。 高岡は今夏、主役候補だったインターハイの直前に左足の内側靭帯を負傷。手術は回避したが、2か月以上の離脱を強いられた。その間もフィジカル強化に励み、3kg増加。これまでに比べて、「ジャンプだったり、俊敏性がより高くなったのかなという風に思っています」と頷く。 2年時には、インターハイ予選やU17アジアカップ、選手権全国大会で悔しい思い。それらをバネにし、後の活躍に結びつけている。今回も選手権でまた進化した姿を見せ、「インパクト残して、絶対優勝」を実現するだけ。「高岡伶颯」という名を全国に広め、イングランドでの挑戦をスタートする。