「すったもんだがありました」CMで宮沢りえが飲んでいた缶チューハイはアルコール度数何%だった?「タカラcanチューハイ デラックス すりおろしりんご」1994年2月発売【食品産業あの日あの時】
そこで企画されたのが冒頭の宮沢りえのCMだった。宮沢は自身の過去の騒動を逆手に取り、「私だってお酒を飲みたい日もある」という女性たちの気分を代弁してみせた。ちなみにCM撮影当時の宮沢はまだ20歳。2016年に酒類業界団体が酒類の広告に出演するモデルの年齢を25歳以上とする自主基準を定めたため、現代であれば企画自体が成立しないことになる。 厚生労働省が今年2月に公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を受け、現在缶チューハイ市場には大きな変化が起こっている。アサヒビール、サッポロビールは今後、アルコール度数8%以上の新商品を発売しないと発表。ここ数年の“ストロング系”ブームをけん引したサントリーは、度数3%の「ほろよい」ブランドを刷新し、11月にはネットフリックスとのコラボによる「ほろよい〈ネトフリコーラサワー〉」の発売も予定している。キリンビールも度数3%の新ブランド「華よい」を立ち上げた。
宝酒造も2024年9月10日から3年ぶりの新缶チューハイブランド「発酵蒸留サワー」を発売。度数はこちらも3%。かつての「すりおろしりんご」の4%よりもさらに低く、現在発売中の同社製品の中で最も低アルコールの商品だ。「果皮発酵スピリッツ」を使用することで複雑な香りと厚みを実現しており、度数3%でもじゅうぶんにお酒を飲んだ満足感を得られるという。開発の背景には“飲んだ後にもやりたいことがある”、“飲みたいけど翌日が気になる”という消費者の声がある。宮沢りえのCMから30年、消費者の“飲みたい気分”を探り当てる酒類メーカーの開発競争は続く。 【岸田林(きしだ・りん)】
食品産業新聞社
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