本郷和人『光る君へ』「愚痴は日記に書け」と妻からたしなめられたロバート秋山演じる実資…その貴族の日記が今<世界的な学問>の発展に役立っていた
◆陰陽道は賀茂・安倍(土御門)両家が世襲する学問に 平安時代の初め頃、陰陽道の内容はトップシークレットで、外部に絶対に漏らしてはいけない、という扱いを受けていました。中国大陸や朝鮮半島からやってきた最先端の知識を有する人が任じられることも多かったようです。 陰陽師はまさに専門集団だった。なんかかっこいいですね。 ところが秘密は漏れるもので、やがて貴族層が陰陽道の知識を分有するようになり、天文や暦に詳しくなっていきます。それが『応天の門』に登場する菅原道真の活躍する時代にあたるでしょうか。 それから道真より少し後に賀茂忠行・保憲父子、そして彼らに学んだ有名な安倍晴明が現れます。 「光る君へ」では安倍晴明をユースケ・サンタマリアさんが演じ、花山天皇の寵愛する藤原子とその身ごもった子を呪詛するなど、こちらも秋山さんに負けず劣らず、存在感を発揮していますよね。 結果として、陰陽道は賀茂・安倍(土御門)両家が世襲する学問になるのです。 ※本稿は、『応天の門』(新潮社)に掲載されたコラムの一部を再編集したものです。
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