「男だったら関白にしたのに…」秀吉が溺愛した養女・豪姫の「悲運」とは?
■豪姫ゆかりの名刀・大典太光世とは? 「大典太光世(おおでんたみつよ)」という名刀をご存じだろうか。童子切や鬼丸、三日月、数珠丸などと並ぶ「天下五剣」の一つに数えられる名刀(国宝)である。 この刀、もともと足利将軍家が所有していたもので、足利家の没落に伴って秀吉の手に渡り、秀吉が前田利家に譲ったという経緯があった。その理由が、豪姫に関わるものだったというから、目が離せない。 それは、豪姫が原因不明の病にかかったことに端を発している。占い師によると「狐が取り憑いている」からとのこと。これを耳にした実の父である前田利家が、秀吉が所持していた霊剣・大典太光世を借り受けて、その霊力に期待。姫の寝所にこれを置いて、取り憑く狐たちを追い払おうとしたのである。 その目論見は、みごと的中。わずか3日で元気になったとか。これで良しとばかりに、刀を秀吉に返却するや、またもや姫が病に倒れた。ここにおいてようやく、その霊力を感じ取った秀吉が、前田家にこの刀を贈与。再び姫の枕元に置くと、病も癒えたとか。以降、前田家の家宝として大切にされ、今もその後裔ゆかりの財団が保管し続けているという。 彼女の後半生は、夫とも生き別れるなど悲運だったというべきかもしれないが、それでも、さまざまな方面から愛され、そして見守られ続けてきたことだけは間違いなさそうである。
藤井勝彦