安部公房原作&石井岳龍監督、脚本『箱男』公開決定！ポスタービジュアル＆予告編が到着

「砂の女」、「他人の顔」などの小説で知られる安部公房が1973年に発表した同名小説を、石井岳龍による監督、脚本で映画化した『箱男』が8月23日(金)より全国公開されることが決定。ポスタービジュアルと予告編が解禁された。 【写真を見る】メガホンをとるのは、黒木華や刈谷友衣子らが出演する『シャニダールの花』の監督、石井岳龍 本作は生前はノーベル文学賞に最も近いとされ、日本が世界に誇る小説家の一人である安部の代表作を実写映画化。過去にはヨーロッパやハリウッドの著名な映画監督が映像化を熱望し、原作権の取得を試みたが、安部サイドから許諾が下りず、企画が立ち上がっては消えるなどを繰り返していた。そんななか、最終的に安部本人から直接映画化を託されたのは『狂い咲きサンダーロード』(80)で日本映画界に衝撃を与えた石井(当時：石井聰亙)だった。安部からの「娯楽にしてくれ」という要望のもと、1997年に製作が決定。石井は万全の準備を期し、ドイツ、ハンブルグで撮影を行うべく現地へ。ところが不運にもクランク・イン前日に撮影が突如頓挫、クルーやキャストは失意のまま帰国することとなり、幻の企画となった。 あれから27年。奇しくも安部生誕100年にあたる2024年、映画化をあきらめなかった石井は遂に『箱男』を現実のものとした。主演には27年前と同じ永瀬正敏、永瀬とともにキャスティングされていた佐藤浩市も出演を快諾。さらに、世界的に活躍する浅野忠信、数百人のオーディションから抜擢された白本彩奈ら実力派俳優が揃った。 さらに2024年2月に開催された第74回ベルリン国際映画祭にてワールド・プレミアが行われ、因縁の地ドイツに永瀬、浅野、佐藤、石井監督が揃い、レッドカーペットや公式上映に登壇。ベルリン映画祭ディレクターに“今年一番クレイジーな映画”と言わしめ、27年越しに完成された映画がついにお披露目となった。 このたび解禁されたポスタービジュアルでは、街中で箱の中に身を隠してひっそりと存在していた箱男が立ち上がり、こちらを凝視している。だが依然彼の姿は謎に包まれたままだ。あわせて解禁された予告編では、一部ではあるが、箱男が一体どのようなキャラクターなのか垣間見ることができる。永瀬演じる「わたし」が箱という鎧をまとい、完全な孤立、完全な匿名性を手に入れて一方的に世界を覗き見、「箱男」になったと豪語。だがそこへ箱男という存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野)や軍医(佐藤)、そして謎の女(白本)までもが現れ、箱男を消し去ろうとする。ついにいま「本物」をめぐる戦いが始まる。 また、現地時間7月10日(水)よりニューヨークで開催される“北米最大の日本映画祭”、ジャパン・カッツにて本作の出品が決定。さらに今回は映画祭側の強い希望により、石井監督作品『水の中の八月』(95)も特別に上映されることが決まり、石井は両上映日に登壇予定となっている。 これまで数々の話題作を手がけてきた石井岳龍の悲願ともいえる企画がついに結実した本作。その全貌はぜひスクリーンで体感してほしい！ 文/スズキヒロシ