今季限りで清水退団のGK権田修一が明かした衝撃事実…「1年前に2024年以降の契約更新がないことを告げられていた」…異常な状況はなぜ起こった?
鹿島では2022、23シーズンと出場機会をなかなかえられなかった沖だが、J1リーグで通算59試合に出場した経験をもっている。期限付き移籍ではなく完全移籍で獲得したのも、沖をレギュラーにすえて今シーズン以降を戦う構想も描いていたからだろう。 その後に権田の残留が決まった清水は、今シーズンのキーパー体制を、沖を加えた5人と他チームよりも多い陣容で戦ってきた。権田が競争を勝ち抜く形で開幕から全試合でゴールマウスを守ってきたなかで、勝てば3年ぶりのJ1昇格が決まる状況で迎えた10月27日の栃木戦では、沖が移籍後初出場を先発で果たしている。 そして敵地で栃木を零封し、J1昇格に貢献した栃木戦後に、ベンチにも入っていなかった権田の状態を問われた沖はこんな言葉を残していた。 「経緯がどこまで出ているかわからないので、僕の口からはあまり言えません」 おそらくは今シーズンが始動する前の段階で、やがては沖を守護神にすえる陣容のもとで、長期的な視野に立ってチームを作り直していく構想が清水のなかで描かれていたのだろう。世代交代を図っていく一環として、権田に対して2025シーズン以降の契約更新はないと早い段階で告げられていた可能性は大きい。 権田に関しては、栃木戦へ向けた練習中に脳震盪を起こしたとも伝えられていた。いずれにしても、ひとつのポジションを複数で争うキーパーの交代は、シーズン中にはなかなか起こりえない。昇格をほぼ手中に収めていた状況で、権田の怪我をきっかけに来シーズン以降をもにらみ、実力十分の沖を起用したとみていいだろう。 今後に関して、権田は挨拶の最後で「サッカー界にはいるので」と現役続行を明言したうえで、感謝の思いを込めながらこんな言葉で締めている。 「来年のことは何も決まっていません。ただ、みなさんと対戦しないチームにいくように努力しようと思っています。それで察してください。4年間ありがとうございました。そして、エスパルスをこれからもよろしくお願いします」 J1の舞台へ帰る清水と対戦しない、イコール、海外への再挑戦か、国内ではJ2以下のチームが考えられる。清水の対応を非難する声もあるものの、権田にとっても来シーズンへ向けて、早いタイミングから動ける状況が整っていた。 自身のインスタグラムへ、今シーズン限りでの退団を8日の時点で報告した権田は、ファン・サポーターへの思いを優先させたと明かしていた。 「本来はクラブのリリースが先ですが、明日(9日)の朝刊で公式より先に出てしまうようなので、応援してくださってる皆さんにはきちんと自分から伝えさせてもらいます」 モチベーションを高く保ちながら、悲願のJ1昇格へ王手をかけるまで守護神をまっとうした軌跡と、沖や熊本に零封勝ちした最終節でデビューしたルーキー猪越優惟(23、中央大卒)ら後輩たちへのバトンタッチ。J1で71試合、J2では77試合で清水のゴールマウスを守ってきた権田の4年間が、拍手と歓声のなかで幕を閉じた。