「高い」と「高価」には違いがある、とエルメスのアーティスティック・ディレクターは述べている。

高級ブランドのエルメスは、ハンドバッグが最も有名で、最低でも1万ドルほどする。 エルメスのアートディレクター、ピエール=アレクシィ・デュマによると、それは「高い」のではなく、「高価」なのだという。 【全画像をみる】エルメスのバッグは「高い」のではなく「高価」…同社アートディレクターがその理由を語る 「高い」のは「本来提供すべきものを提供していない製品」だ、とデュマは「60ミニッツ」で語った。 あなたは1万ドル（約155万円）のバッグを、高いと言うだろうか。 エルメス（Hermès）のアートディレクター、ピエール-アレクシィ・デュマ（Pierre-Alexis Dumas）なら、そうは言わないだろう。 2024年12月15日に放送された米CBS「60ミニッツ（60 Minutes）」でのインタビューの中でデュマは、186年の歴史を持つメゾンであるエルメスのバッグは「高い」のではなく、「高価」なのだと述べた。 エルメスで最も有名なのはおそらく「バーキン（Birkin）」だろう。1980年代に発表されたトート・バッグで、価格は約1万ドルからだが、バリエーションがあり、6桁になるものもある。 「高い」とは、「本来提供すべきものを提供していない製品だが、それに対して大金を払ってしまい、そして裏切られること」を意味するとデュマは述べた。 デュマによると、「高価」な製品に高い値段が付けられているのは、「きちんと、細心の注意を払って、人々が高品質の物を手にすることができるように」作られているからだという。 2005年にエルメスのアートディレクターになり、父親がエルメス・グループのCEOであるデュマは、エルメスが販売しているバッグは一つ一つ手縫いされており、何年もこれだけを訓練した職人たちによる縫製だと述べた。 製品を完成させるために必要な限られた資源と時間が、最終価格の一因であり、また、サイズや素材によっても異なる。

リッチな人々でさえ、エルメスのバッグを手にするのは難しい

たとえエルメスの顧客たちが、ケリー（グレース・ケリー［Grace Kelly］にちなんだ名前）やバーキン（イギリスの女優、ジェーン・バーキン［Jane Birkin］にちなんだ名前）にかけるお金を持っているとしても、数年は待たなければならないかもしれない。 コンサルティング大手マッキンゼー（McKinsey）のグローバル・ビジネス・ストラテジストで、シニア・アドバイザーのマーティン・ロール（Martin Roll）がBusiness Insiderに語ったところによると、エルメスのブランド・アイデンティティーは、製品の希少性に集約されているという。 ロールはこの戦略について、ブランドの寿命の長さと厳しい経済サイクルに耐える能力にとって極めて重要だと述べた。例えば、中国における需要低迷は高級品業界に打撃を与えている。 「彼らはエルメスもすべての高級ブランドと同じように、供給過剰のリスクがあることを良くわかっている」とロールは述べ、家族経営のブランドである点も有利だと付け加えた。