新幹線内は全撤去! それでも街の「喫煙ルーム」が増加している理由
3月16日、新幹線の喫煙ルームがすべて撤去された。今後、たばこが吸える空間はさらに少なくなる、と思いきや、むしろ新設の動きが各所で見られるようになった。その内実について調べてみた! 【写真】コソドが運営する「THE TOBACCO ASAKUSABASHI」 ■ついに新幹線も禁煙化 ついに新幹線でたばこの吸えない日がやって来た。 JR東海、西日本、九州の3社は3月16日、東海道、山陽、九州新幹線の喫煙ルームを廃止。車内の全面禁煙に踏み切った。東北・上越新幹線は以前より禁煙なので、これですべての新幹線から喫煙ルームが消えることに。 今回、新たに全面禁煙化を決めた3社は、「近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下」(各社広報)を理由に挙げている。また、山陽新幹線では一部の沿線駅に残っていた分煙非対応の喫煙コーナーも廃止されるため、「駅に着いたらとりあえず一服」も、ますます難しくなっていくだろう。 ただ、公共スペースでの喫煙室や喫煙所の廃止はこれからさらに加速していくのかと思いきや、そうとも言い切れない。むしろ、各自治体の方針を調査すると、喫煙所の新設もしくは増設しようとするところは増えている。 例えば昨年12月、北海道札幌市では市の中心部にある大通公園に、路上喫煙防止の実証実験として喫煙所が新設された。その結果、路上喫煙者の減少が確認できたという。この喫煙所は来年3月末まで設置予定だ。 また、神奈川県鎌倉市も昨年11月に、鎌倉駅の周辺に公共の喫煙所を設置した。同市は2019年に駅前に唯一あった喫煙所を廃止したものの、路上喫煙や吸い殻のポイ捨ての増加といった悪影響に加え、喫煙場所を求める観光客などからの要望が相次いだことにより、このたび喫煙所の設置を再開した。 さらに大阪市では、来年の大阪・関西万博の開催に向けた市内全域における路上喫煙禁止の実施に合わせ、市内に120ヵ所もの喫煙所を新設する計画を立てている。 とはいえ、実は喫煙所の設置は簡単なことではない。その理由について、喫煙所の企画・運営によって受動喫煙やポイ捨てなどの社会課題解決に取り組む「株式会社コソド」の代表である山下悟郎氏はこう語る。 「屋外に喫煙所を設置するためには、受動喫煙対策のために人流が少ない場所である必要があります。しかし、たくさんの人が行き交う場所にこそ喫煙所のニーズはある。そのため、近年では屋内型の喫煙所が主流になりつつあります。ところが、この設置には費用の問題がつきまとうのです」