よく見るコイルスプリングだけじゃない! 板バネに空気バネなどクルマのサスペンションの「バネ」の種類と特徴
クルマの乗り心地はバネ次第
クルマの重量を支える役目を担うのが、バネだ。また、路面の凹凸などを通り過ぎる際の衝撃を和らげる役目がある。 【写真】走り屋どころかプロも手を焼いた!? 歴史に残る究極のコーナリングマシンたち(全10枚) もし、バネがなかったら、路面の凹凸に応じていちいち車体が傾いたり跳ねたりしてしまう。バネで車両を支え、そのうえで、バネが働くぶんだけ車体と車輪の間で衝撃を和らげる機能があることで、乗り心地が改善されるだけでなく、走りの安定性も向上する。 したがってバネは、クルマだけに用いられるわけではなく、その昔の馬車でも使われてきた。 バネには種類がある。馬車などでも使われてきた歴史ある形式は、板バネだ。板状のバネの両端を支え、その中央付近に車輪を取り付けることにより、板バネの弾力を利用し、路面からの衝撃を和らげる。また、鉄を使ったバネの強さを活かし、車重を支える。長短長さが異なる板バネを重ねることで、それぞれの間に生じる摩擦が、バネのたわみを調整する役目も果たす。 板バネの素材は鉄に限らず、たとえば米国ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカーであるコルベットは、樹脂製の板バネを使っていたことがある。それにより軽量化をはかった。 板バネの弾力に替えて、棒状の鉄が持つねじりに対する戻り力を利用したのが、コイル式のバネ、コイルスプリングと呼ばれる方式だ。棒状の物をねじると、元へ戻ろうとする。その弾力を利用している。 そのねじる力を簡素に利用するのが、トーションバースプリングと呼ばれる棒状のバネだ。それを螺旋状に巻きあげたコイルスプリングと違い、棒のまま車体に取り付ける。見栄えはまったく違うが、機能させ方は、コイルスプリングもトーションバースプリングも同じだ。 棒状のまま使うには、長い棒を取り付ける場所が車体側に必要になる。一方、コイルスプリングは、長さを短くできるが、スプリングの直径分を収める空間が、車体側に必要になる。車体の構成(パッケージング)によって、都合のよいバネの形式を選ぶことになる。