【40代の妊活】一度は手放した妊娠への思いが再燃。「出生前検査」について知りたい!
大切なのは、数字やデータより「自分たちはどうしたいか」
Oさん この年で妊娠・出産となると、いろいろなリスクがあるのだろうと思いつつ、確率などの具体的な数字を知るのが怖くて調べられずにいます。 西山さん 妊娠・出産にまつわる話は「年齢」がフォーカスされがちなので、Oさんのように気にされる方も多いのですが、そもそもの前提として、どの年齢においても「母子ともに健康な妊娠・出産が当たり前」ではないということを知ってもらえたらと思います。もちろん妊孕性(妊娠するための力)の低下や流産率、高血圧や糖尿病といったお産の一般的なリスクなどを考えると、妊娠・出産の意思については若いうちから考えておくほうがいいと思いますが、年齢が若ければリスクがまったくないというわけではありません。 Oさん 私自身、20代だったらきっと「元気に生まれるのが当たり前」と考えていたと思います。でも、「出産は命がけ」といわれるように、いつ、誰に、何があってもおかしくないってことですよね。 西山さん その通りです。また、父親となる男性側の加齢による影響もありますが、どうしてもより幅広い検査ができる母親側の年齢にばかり注目が集まりやすいのだと思います。この現状は、女性にとって大きなプレッシャーですよね。年齢に限らず、どんなご夫婦にも病気を持ったお子さんが生まれる可能性があるということは、多くの方に知っていただきたいと思います。また、生まれつきの病気(先天性疾患)がある赤ちゃんの割合は約3~5%といわれていて、出産後や成長するなかでわかる病気のほうが多いです。 Oさん 私たちの場合、私のほうがパートナーより年齢が上ということもあり、「自分の体や年齢のせいで何かあったら…」という気持ちになってしまっていました。 西山さん 先ほど、Oさんは「確率などの具体的な数字を知るのが怖い」とおっしゃっていましたが、確かに数字はデータとしての指標にはなりますが、わかりやすいがゆえに不安をあおる場合もあります。ですから、私はカウンセリングで「数字の解釈によってとらえ方も変わりますよ」ということも同時にお伝えしています。 例えば、母親が25歳で出産する場合と35歳で出産する場合のダウン症候群の平均的な出生頻度を比較したとき、25歳の場合は「約1000分の1」で、35歳の場合は「約300分の1」といわれます。確かに25歳よりも35歳のほうが頻度は高いといえますが、これはパーセンテージにすると0.3%。つまり、99.7%は違うということになります。この数字をどうとらえるかは、これから赤ちゃんの母親、父親となる当事者の皆さん次第なんです。 Oさん 確かに、「違う」ほうのパーセンテージは考えないかも…。 西山さん インパクトのあるグラフや数字にショックを受けたり慌てたりしてしまう方もいますが、数字の解釈についてお話しすると「落ち着いて理解することができた」とおっしゃる方も多いです。確率論にばかり気をとられるよりも、データやさまざまな可能性を理解したうえで「自分たちはどうしたいか」をパートナーとお二人で一緒に考えることが大切だと思います。