藤井聡太竜王VS佐々木勇気八段の注目の若手対決・竜王戦七番勝負の展望はいかに!?
藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が挑戦する第37期竜王戦七番勝負。中学生棋士に次ぐ若さでプロ入りを果たした佐々木が、ついにタイトル戦の大舞台に登場だ。 【写真を見る】竜王戦防衛に臨む藤井聡太 佐々木は小学4年生で小学生名人を獲得。中学生棋士にはわずかに届かなかったが、16歳1ヶ月でのプロ入りは中学生棋士に次ぐ若さだ。だが、その後は若手棋戦での優勝こそあったものの、プロ入り前からの期待と比べると物足りない成績が続く。一気に伸び出したのは藤井が出てきてからだろう。順位戦はC級1組、B級2組で藤井と一緒に昇級。B級1組では終盤の失速で1期足踏みしたが、2期目で昇級。前期はA級でも残留を果たし、NHK杯戦でも初優勝するなど、一躍トップ棋士の仲間入りを果たした。 今期の竜王戦は2組優勝で決勝トーナメント入り。2連勝で挑戦者決定戦進出し、広瀬章人九段に連勝で初のタイトル挑戦権を獲得した。 藤井は竜王4連覇のかかるシリーズだ。これまでの七番勝負は12勝2敗と、二日制ということもあり他の棋戦以上の安定感を見せている。すべてのタイトル戦で防衛戦となった今期はここまでの6棋戦ですべて違う棋士が挑戦者となっており、タイプの異なる相手との戦いが続いている。今年度の最初の方は叡王失冠を含めて不調説もあったが、このところは調子も上向いている印象だ。 過去の対戦成績は藤井から見て4勝2敗。なお、佐々木のあげた2勝は大きな記録を止めている。 1勝目は初手合で、史上最年少のデビューから、プロ公式戦の連勝記録を塗り替えた30局目での対戦。竜王戦の決勝トーナメントだった。藤井フィーバーの真っただ中で、テレビなどでも大きく取り上げられて記憶に残っている方も多いだろう。その将棋で佐々木が勝ち、藤井は公式戦初黒星。連勝記録は29で止まることとなった。 2勝目は前期のNHK杯戦決勝。前々期の決勝と同じカードで、佐々木がリベンジを果たして初の全棋士参加棋戦優勝となった。この黒星により藤井は歴代最高勝率の更新はならず、こちらも大記録を止めたこととなった。 戦型は角換わりを中心とした最新形となるだろう。互いに研究が深く、このシリーズで現れる形はそのままプロ将棋のテーマだ。どこかで角換わりを拒否する形の変化球が出る可能性もある。 タイトル戦初登場の佐々木は当然ながら二日制は初。経験値という点では若い藤井が大きく上回っている。佐々木はこの舞台と持ち時間にどれだけ対応できるかも重要だ。 注目の七番勝負は10月5日(土)、6日(日)に開幕する。佐々木は挑戦を決めた後の会見で第6局の指宿をあげており、まずはそこまで持ち込めるかが勝負だろう。 文=渡部壮大
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