第1原発2号機 デブリ初採取22日開始 廃炉工程最終盤の第3期へ 福島県
東京電力は22日、福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しを始める。東電が19日、発表した。パイプ型装置を使い、約2週間かけて原子炉格納容器内にある3グラム以下のデブリを採取し、茨城県の日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究施設で詳しく分析する。原発事故発生後初の試みとなり、当初の予定から3年遅れとなる。国と東電が定める廃炉工程表「中長期ロードマップ」の最終盤に当たる第3期に入る。本格的取り出しにつながる情報を得られるかが焦点となる。 東電によると、最長約22メートル伸びるパイプ型装置を遠隔や手動で操作する。原子炉格納容器の貫通部から装置を差し込み、デブリに到達するまで1週間程度かかる見通し。容器内では先端に取り付けた「グリッパ」と呼ばれる金属製の爪を内部で釣り糸のように垂らし、デブリをつかむ。取り出し作業には1日当たり約60人の作業員が携わる。作業員の負担軽減のため原則、約2時間を作業時間に設定し、回収完了まで2週間程度を見込む。
取り出した後に放射線量を測定し、毎時24ミリシーベルトを超えた場合は格納容器内に戻す。基準値以下のデブリは密閉容器に入れ、グローブボックスと呼ばれる機器で重さなどを測定する。輸送容器に封入し、茨城県大洗町にあるJAEA大洗研究所でデブリを構成する物質や硬さ、放射性物質の濃度などを分析する。結果は今年度内に公表する。 東電は格納容器貫通部と外部をつなぐ隔離弁に装置が入った時点で廃炉工程の第3期に当たる「取り出し着手」とする。全量取り出しは最難関と位置付けており、試験的取り出しで得た知見は2030年代に3号機から計画している本格的取り出しに役立てる。 東電の担当者は「安全最優先に、一つ一つの手順を計画通りに堅実・確実に進めていく」と話した。 デブリは1~3号機に計約880トンあるとされる。東電は内部調査が最も進んでいる2号機からの取り出しを決めた。16日に原子力規制委員会からパイプ型装置の検査の合格を受けたため、22日に開始を決定した。
デブリの分析には、最長で数カ月かかる可能性がある。廃炉の加速のため、分析作業の迅速化や体制強化が課題となる。 東電はデブリの大規模取り出しを2030年代初頭に3号機で始める計画。ただ、原子炉建屋周辺に取り出し用の施設を新設する必要がある。付近には既存の建物があり、解体には相当な時間を要するとみられ、有識者から「容易ではない」との指摘が上がっている。 東電は気中工法と充填(じゅうてん)工法を組み合わせる手法で取り出しに向けた詳細な設備の検討を進めている。1号機については、見通しが立っていない。