日本のフルーツを世界のブランドへ 農家の幸せと持続可能な未来を描く起業家の挑戦
大学時代に香川県の「さぬき讃フルーツ大使」として活動した経験から、日本のフルーツの魅力と農家の厳しい現状を知ったJapan Fruits代表取締役の高尾さん。規格外フルーツの活用や、ITを駆使したバックオフィス支援など、独自の手法で農家の収益向上と労働環境改善に挑戦している。 「フルーツの可能性を最大化し、持続可能な産業にする」という目標を掲げ、フルーツ産業の構造改革に取り組む起業家の思いを聞いた。(聞き手 SDGs ACTION!編集部・池田美樹) ==================== 高尾明香里(たかお・あかり) 株式会社Japan Fruits代表取締役。大学時代にフルーツ大使として活動し、日本のフルーツのおいしさと業界の課題を実感。フルーツの持つ可能性を最大化し、持続可能な産業を目指してJapan Fruitsを設立。最高品質のフルーツを生産する農園と直接連携し、特にケーキ店やいちご飴などの事業者に対して卸売を展開。独自のtoB向け流通システムを通じて廃棄ロスゼロを目指し、生産者と卸先の課題を共に解決することに注力している。 ====================
フルーツ農家をめぐる可能性と課題
――起業の背景を教えてください。 大学時代に香川県の「さぬき讃フルーツ大使」として活動したことでフルーツ業界に興味を持ちました。多くの農園を訪れ、手伝いながら生産者の話を聞き、とても良い経験をしました。 農園で食べたフルーツのおいしさに感動した一方で、農家の厳しい経済状況を知りました。例えば、高級フルーツショップで3万円で売られているフルーツの、農家の手取りが3000円といった状況を目の当たりにしたのです。 日本はこれから人口が減り、国内での需要だけではフルーツの価格を上げることができないと思い、海外への販路を見いだしたくて、大学を休学して1年半ほど、シンガポールやマレーシアなど東南アジアでフルーツの輸入販売に従事しました。そこで日本のフルーツが世界一おいしいと感じましたが、同時に、現在の流通方法では富裕層にしか届けられないほどの価格設定になっていることや、ブランド化ができていないこともわかりました。 こういった経験から、日本のフルーツの可能性と課題を見いだし、農家の方々がもっと報われる仕組みを作りたいと思い、2021年に起業しました。具体的には、生産者の売り上げを伸ばすことと、労働時間の削減に取り組むことにしました。