【虎になれ】最大のライバル・広島との直接対決直前 最下位ヤクルト相手に抜かるな岡田阪神
阪神は28日から神宮球場でヤクルト3連戦の予定だった。ほど近い東京ドームでは首位・広島が巨人と3連戦。しかし神宮は雨天中止に。東都の虎党は寂しい思いをしただろうが、こればかりは仕方がない。 その首位・広島がなかなかに強い。もちろん巨人もDeNAも侮れないし、混セは続く。だが連覇を狙う阪神にとって、ライバルはやはり広島ではないかという気がする。現状、阪神の方が下なのでおこがましいけれど、そう感じるのだ。 思い出すのは前回の広島遠征。交流戦前の5月21日から3連戦だった。20年以上前にカープ担当だったので、今でも広島幹部にはあいさつする。そのとき幹部がこんな話をした。「ウチは6月が終わって貯金が10あれば、まずはいいんじゃないか」-。 正直、感じたのはこういうことだった。「貯金10は相当な成績だ。そう簡単ではないのでは…」。その3連戦前、5月20日の時点で阪神は貯金6で首位、1・5ゲーム差で2位につける広島は貯金3だった。 ところが、だ。阪神が借金4で苦しんだ交流戦で貯金2をつくるなど広島は快走。前日までのヤクルト3連戦で3連勝、この日こそ巨人に負けたが、貯金は「8」まで増えている。 阪神の指揮官・岡田彰布は以前「試合が終わってなんとなく勝ってるというのがエエんや」という話をしていた。大きなヤマ場はないが、終わってみれば勝っている。そんな試合だ。独特な感性を持つ岡田らしい言い方だが、かみ砕けば投手を中心に守って、少ないチャンスや相手のミスで得点して勝つということか。 昨季の阪神はそんな感じだった。現在のカープも近い気はする。防御率は12球団トップ。打率はリーグ2位とバランスもいい。そこに慕われる指揮官・新井貴浩の存在もあり、ムードがいいようだ。 その広島と阪神は来週7月2日からマツダスタジアムで3連戦を控える。怖いのは投げてくる先発投手が好調なことだ。ちょうど27日までのヤクルト3連戦でスイープした際の投手が投げるはず。普通にいけば森下暢仁、九里亜蓮、アドゥワ誠だろう。 あまり先を見ても仕方がないけれど、ライバルとの直接対決を控えたこの週末は重要だ。順位を気にするというより、まずは最下位ヤクルト相手に抜からず、上位に食らいついていかなければ…と思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)