大手証券が相次ぎシニア社員の給与や福利厚生アップ-人材確保を重視
大和証券の広報担当者によると、同社では昇給にとどまらず、一部の職務で年齢の上限を撤廃した。みずほ証券は7月に新しい人事制度に移行し、60歳で定年を迎え再雇用となった場合にも、給与は一律ではなく役割に応じて設定している。また、一部を除き福利厚生も定年前と同様の適用とした。
みずほ証の広報担当者は、「組織に対して貢献できる能力、経験、価値を持っている社員には、60歳以降も引き続き会社に残って活躍いただきたい」と述べた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は65歳以上になっても働ける領域を設けることを検討しているという。
こうした取り組みの成果は現れ始めている。野村証券では定年退職後に再雇用された社員数が19年3月期から20%増加し、800人に達した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、伴英康氏は、日本経済や市場の隆盛と衰退を経験してきた50代後半から60代前半の人材について言及し、「組織にとって『失われた30年』の前を知っている人々には一定の価値がある」と指摘する。
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Nao Sano, Takashi Nakamichi