<熊本地震>増え続けるこどもたちへの負担、小学校避難所にキッズルーム
子どもの変調を感じる親も
避難生活も落ち着き、片付けや仕事を本格化させたい親には、日中、小さな子どもたちの世話をどうするのかも大きな課題だ。保育園も幼稚園も休園中。祖父母らと同じ場所に避難していれば、日中の世話を頼めるが、年配者の疲労も深まり、無理は言えない。「自宅の片付けに連れていけば、壊れた家にショックを受けるだろうし、倒れた家具やがれきでけがする恐れもあり、片付けにも集中できない。本当に悩ましい」と30歳代の母親。 子どもの変調を感じる親も多い。「避難所暮らしのせいもあるだろうが、日中は変にハイテンションで、本震が起きた深夜に目が覚めることも多い」、「食事が細くなり、お菓子を欲しがる回数が増えた」「抱っこをねだるようになった」。 小、中学生の生活もがらりと変わった。学校は少なくとも5月9日までの3週間は休校となる予定だ。避難中の中学1年男子(12)は「勉強の遅れが心配」と話す。入学式から3日間通っただけで地震が起き、新しい教科書も受け取っていない。 避難生活を整え、物が散乱した自宅の片付けに対応するのが精一杯の状況のなか、村内の児童生徒も分散して避難していることもあり、休校に対して十分な対応が取れないのが現状だ。
避難所にキッズルーム
一方、河原小では、避難3日目から、キッズルームを作り、遊具や楽器で遊べるようにしたり、職員が歌声、体操教室を開いたりして、子どもたちのストレス解消に尽力。図書室は学習用に開放し、復習プリントも用意している。塩山明校長は「未曾有の事態で子どもたちも大変だが、学年の上の子どもたちが終日、下の子たちの面倒をみるなど、目を見張る奮闘ぶりだ。気持ちをしっかり持って、自分の役割を果たしてほしい」と期待した。 23日、九州あそびの研究所(福岡市)所長の中島宏さんが訪れ、クイズ形式のパネルショーや毛糸遊びを行った。こどもたちに楽しい時間を過ごしてもらおうと招かれた。東日本大震災の際も現地で遊びを教えたプロで、この避難所に外部から子どもの遊びに関するサポートが入るのは初めてのことだ。 幼児から中学生まで約20人が参加。中島さんが持参したおもちゃを使って遊び、これまであまり知らなかったこどもたちの仲も深まり、元気な声が響いた。中島さんは「子どもたちが予想以上に元気で安心した」と話しつつ、「避難所では、親も子どもも周囲に気を使うと思う。例えば、毛糸遊びなど、周りのお年寄りたちともコミュニケーションが深まる遊びをするといいのでは」とアドバイスした。 届けられた救難物資を自主的に運ぶなど、子どもたちの活躍も目立ち始めた。避難者や救援者らが励ましの言葉を寄せる横断幕には、多くの子どもたちが多く書き込んだ。「ぜったい、まけんけん」「たくさんのぶっしをありがとう」「支えてくれるみんなに感謝」。子どもたちの文章には、他者に感謝の気持ちを伝える言葉ばかりが並んでいる。 (取材・文 木野千尋)