【北京＝三塚聖平】中国の習近平国家主席は17日、中国人民解放軍で戦略ミサイルを運用するロケット軍の拠点を視察した。習氏は、核兵器を含む「戦略的抑止力」と「実戦能力」の向上を指示した。中国国営新華社通信が19日伝えた。台湾問題などを巡り米国との対立激化が見込まれる中、中国軍は核戦力の増強を急いでいる。 中国軍トップの中央軍事委員会主席を兼ねる習氏は「訓練と戦闘準備を全面的に強化」することや、「国家の戦略的安全や核心的利益を力強く守る」ことを求めた。 中国が「核心的利益」と位置付ける台湾問題を巡り、中国軍は今月14日に台湾を取り囲む形の海空域で軍事演習を行った。中国側は「台湾独立派」とみなす頼清徳政権への圧力を強めている。 また、習氏は「士官と兵士の身の回りの腐敗問題と不正の気風を厳しく処分しなければならない」と強調した。ロケット軍を巡る汚職疑惑が伝えられており、今年6月にはロケット軍の初代司令官を務めていた魏鳳和（ぎ・ほうわ）元国防相に重大な規律・法律違反が確認されたとして、中国共産党が魏氏の党籍を剥奪する処分を決めている。習氏は視察を通じ、ロケット軍などの引き締めを今後も強める方針を示した形だ。