躍進が止まらない“辞めジャニ”勢…2024年のドラマ出演ラッシュが業界的に意味すること
山下智久と錦戸亮、約5年ぶりに民放連ドラに返り咲き――。 このトピックは、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP./STARTO ENTERTAINMENT)を取り巻く環境が、著しく変化している過渡期であることを象徴しています。“辞めジャニ”勢にとって、新時代の幕開けとなる予感をひしひしと感じさせる出来事ではないでしょうか。 【写真】今後「旧ジャニーズタレント」が恋愛ドラマに出演するのは厳しくなる? これまで、元SMAPの3人や山下さんはNHKのドラマやバラエティに出演して地上波テレビの露出がありました。しかし、彼らは“辞めジャニ”勢のなかでかなり稀有なケース。 赤西さんや錦戸さんを含め、多くの“辞めジャニ”はNHKにもほとんど出演しておらず、地上波テレビから姿を消したままになっていました。 もちろんテレビ局側からのオファーを断っていた可能性もありますが、錦戸さんは退所後の2020年にTwitter(現X)で、ドラマ出演を望んでいるような投稿をしていたものの、実際には今年の『不適切にもほどがある! 』までテレビドラマ復帰できていなかったのです。 前編『ここにきて“辞めジャニ”がテレビを席巻し始めていた…テレビ出演から感じ取れる「業界の忖度」』
ジャニーズ帝国崩壊危機で変革期に突入
ですが、変革期が訪れたのです。 きっかけは世界的な社会問題にまで発展した故・ジャニー喜多川氏による性加害事件。昨年になってようやく大きく報じられたこの事件に端を発し、ジャニーズ帝国が崩壊危機に瀕したのはご存知のとおり。 公正取引委員会の“注意”以降、旧ジャニからテレビ局への圧力はなくなっていたとは思いますが、それでもテレビ局側の自主的な忖度は強く残っていたのでしょう。 草彅さんが『罠の戦争』でフジテレビドラマに主演復帰するなど、少しずつ潮目は変わって来ていましたが、公取委の“注意”があった後でも“辞めジャニ”勢が続々とテレビに続々と出演するといったことはありませんでした。それはなぜか? テレビ各局が旧ジャニのタレントをメインに据えたドラマやバラエティを多数制作しており、ある種の依存状態が続いていたため、テレビ局が事務所の顔色をうかがって忖度していたから――という可能性が大です。 けれど、そこにきてのジャニーズ帝国崩壊危機。 「人類史上最悪の性虐待事件」と称されることもあるほどの大事件を、故人とは言え会社のトップが起こしていたという事実はあまりにもショッキングであり、テレビ各局に旧ジャニ所属タレントの起用を控える流れが生まれたのです。 そして、それは同時に“辞めジャニ”勢への忖度が薄まっていくことも意味していました。 これまでは“MCとしての中居正広”や“俳優としての草彅剛”など、個の圧倒的な才能を評価されていなければ、民放出演のハードルはなかなか乗り越えられなかったのですが、今はそのハードルがかなり低くなってきた印象。 かつては旧ジャニが圧倒的に力を持っていたため、“辞めジャニ”勢がテレビに出にくかったというパワーバランスがあったわけですが、現在はテレビ局側がこの人に出てほしいと思えば、旧ジャニの顔色を伺わずにオファーできる環境になってきているのでしょう。 山下さんが主演を務める『ブルーモーメント』、錦戸さんが準主役の『Re:リベンジ-欲望の果てに-』はいずれもフジテレビ系のドラマのため、「旧ジャニがダメなら“辞めジャニ”」という露骨な鞍替えだと見る向きもあります。 TBSも7月期に二宮さんの『ブラックペアン』を放送するわけですから、テレビ各局の節操のなさに辟易としてしまうかもしれませんが、“辞めジャニ”勢のファンからすれば喜ばしい状況になってきているのは事実。 “辞めジャニ”勢のなかには、昨年退所した元King&Princeの平野紫耀さん、神宮寺勇太さん、岸優太さんからなる3人組グループ・Number_iもいます。彼らは今年3月に『Venue101』(NHK)、『with MUSIC』(日本テレビ系)、4月に『CDTVライブ! ライブ! 』(TBS系)、『週刊ナイナイミュージック』(フジテレビ系)と、各局の音楽番組に立て続けに出演しましたが、今後はドラマやバラエティに出演する可能性も充分あるでしょう。 平野さんは何本も主演ドラマがありましたし、岸さんや神宮寺さんはバラエティで高いスキルを発揮していましたので、人気と適性を考えれば引っ張りだこになってもおかしくはありません。 ――いずれにしても、2024年は“辞めジャニ”勢にとって新時代の幕開けとなるのではないでしょうか。彼らがドラマやバラエティや音楽番組などに出演ラッシュとなり、地上波テレビを席巻していくかもしれません。
堺屋 大地(恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー)