福原遥&水上恒司が映画『あの花』の撮影で感じた「言葉で伝えられない愛情表現」
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(公開中)でW主演を務めている福原遥と水上恒司。汐見夏衛のベストセラー小説を実写化した本作では、いまでは当たり前のことが許されなかった時代に出会った二人のラブストーリーが描かれている。 【写真を見る】作品を通して「いい関係が築けた」とお互いに感謝。福原遥&水上恒司を撮り下ろし! 現代の女子高校生、百合(福原遥)が目を覚ますと、そこは1945年、戦時中の日本。そこで出会った彰(水上恒司)に何度も助けられ恋をするが、彼は特攻隊員で程なく戦地へ飛び立つ運命だった。本作の撮影を通じて、たくさん話し合い、意見を交換したという福原と水上に共演の感想や作品に込めた思い、時空を超えたラブストーリーである本作にちなみ、行ってみたい時代について語ってもらった。 ■「水上くんの存在は“戦友”という感じ」(福原) ーー共演の感想を教えてください。作品に携わるにあたり、たくさん話し合いをした現場だったと伺っています。 水上「(福原さんとは)同じような義務教育を経てきたとは思うのですが、本作のテーマに対してはそれぞれの思いや考え方があるはずなので、戦争に対する考え方のすり合わせをたくさんしましたね。それぞれの思いをちゃんと表現できるやり方を模索し、丁寧に話し合うことの積み重ねでした。そこを乗り越えて作品が出来上がったこと、一緒に乗り越えられたことに対しては、ほかの作品とはまた違った時間の過ごし方ができたんじゃないかなと思っています。役については、特攻隊員ってやっぱり、ただ国のためとか家族のためだけではなかなか行けないものだと僕は思っていて。自分が(特攻隊員として)突っ込んでいっても、あまり変わることはないかもしれない。でも『人を守りたい』『百合を守りたい』という想いが大義になり得ることに十分な説得力を持たせる百合を、福原さんが現場で提示して下さいました。それだけで僕は彰が作れると思いました」 福原「すごくうれしいです。ありがとうございます」 ーーいい関係を築けていたのが伝わってきます。 福原「私には題材も結構難しかったので、撮影が始まる前までに『どうやって表現していこうか』という話し合いをたくさんできたのが、とても心強かったです。水上くんの存在は“戦友”という感じで、撮影中も水上くんさんが彰で本当に良かったなと思っていましたが、出来上がった映画を試写で観終わった時に、特に強く感じました」 ーープロデューサーの西麻美さんが、撮影中の水上さんの目力がとても印象的だったそうで、それが映像になった時には百合への愛を感じさせる目になっていて、とてもびっくりしたとおっしゃっていました。 福原「それは、私も百合として撮影中ひしひしと感じていました。百合と彰はお互い言葉で伝えられないからこそ、視線や態度などで愛情表現をしています。伝えているというより思いが出てしまっているような状況だったので、お互いの気持ちは現場でもすごく感じながらお芝居ができていました」 ■「思い出してもらえるような作品になるのがベスト」(水上) ーー原作の汐見先生をはじめ、この作品を若い世代に伝え、繋いでいきたいという想いがあると、プロデューサーから伺いました。原作はお二人よりもさらに若い世代の方々にも大人気です。お二人がこの作品に込めた思いをお聞かせください。 福原「観て感じることはそれぞれ違うと思いますが、次の世代へとバトンを繋げるような作品になればいいなと思っています。戦争というテーマももちろん大切ですが、百合と彰のラブストーリーとしても楽しんでいただけると思うので、皆さんが興味を惹かれたポイントで作品に触れてもらえたらうれしいです。そこから、いろいろと考えるきっかけになったらいいなと思っています。私は“家族”がテーマの作品も好きなのですが、本作では親子の関係性も描かれます。百合は母親に対し、イライラして喧嘩して八つ当たりして飛びだして…(笑)。そんな反抗的な態度を取る百合を演じるのに試行錯誤しましたが、演じていてとても新鮮な気持ちになりました。百合と母親の関係も楽しめるポイントだと思います」 水上「同年代と比べると僕は割と戦争に対して縁があり、思いを早くから持ちはじめていた少年でした。僕たちが小中学生のころと比べて違いはあるけれど、やっぱりいまの日本は平和ですよね。その環境で戦争の危険さや過酷さ、残酷さを知りなさいと言ってもピンとこないと思うんです。知らなくても生きていけるから、知る必要もなくて。だから、映画を観て戦争はやってはダメなことという当たり前以外のコアな部分を理解するのは難しいと思うんです。だけど、いまロシアやウクライナ、パレスチナなどで起きている問題が、今後起きないとも限らない。日本が当事者になる可能性だってあります。もしそうなって戦争ってなんだろうと考えた際に、本作を観た小中学生が大人になっていて、そういえば昔、映画『あの花~』で見たな、確か戦争のことを描いていたなと思い出してもらえるような作品になるのがベストだと、いまの僕は思っています」 ーー百合は自分が生きている現代とは違う時代で彰と出会います。映画のなかで戦争中の日本を経験したお二人が個人的に行きたい時代、見たいものはありますか? 水上「僕は昭和のバブル時代に行きたいです。バブルを知らない世代なので、どういう時代だったのかそのものも知りたいですが、どんなふうにバブルが崩壊していったのかも知りたくて。どのように人々が活気づき、どんな勘違いをして、どんなふうに楽しかったのか。不景気の時代に生まれているからこそ、バブル時代の流れが気になります」 福原「私は未来に行きたいです。朝ドラで空飛ぶクルマに関わったのですが、きっといつかは空いっぱいに車が走り回るんだろうなって思うと、その状況を自分の目で見てみたいと思うんです。電話も自分の体に組み込まれて、目の前に情報が映しだされてそれをキャッチするみたいな時代がくるんだろうなとか(笑)、様々なアイテムがある未来が気になります」 水上「電話に関してはアメリカの会社が発表しているものが近いかも」 福原「え?もう見れちゃうんだ…、私が思い描く未来が現代にやってくるみたいです(笑)。でもやっぱり、世の中がどう変わっているのかは気になるので、行きたいのは未来です!」 取材・文/タナカシノブ